こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
各地で豪雨被害と感染症の拡大が続いています。被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、引き続き最大限の警戒・感染症対策をお願いできればと存じます。
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さて、メンタリストDaiGo氏のホームレス・生活保護を巡る発言について、本日(14日)にも二度目の謝罪が行われたことで、引き続き注目が集まっています。
言うまでもなく当初のメンタリストDaiGo氏のホームレス・生活保護受給者を蔑視する発言は不適切なものであり、生活保護制度を利用することはなんら恥ずべきことではありません。
一方で、現行の生活保護制度にも課題・改善点は山ほどあり、せっかくですからその論点を改めてまとめておきたいと思います。
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現行の生活保護制度は、一言で表せば「狭く深い、抜け出しにくい制度」になっています。
生活保護制度の問題点というと、とかく「不正受給」ばかりがクローズアップされ、これも勿論ないわけではありませんが、それよりも捕捉率が約2割という低さの方が大きな問題です。
これはつまり、本来は生活保護制度が利用できる人のうち20%の人しか何らかの理由で制度利用にたどり着いていないことを意味します。
そして「制度を使いたくない」と一部の人が感じてしまう原因こそが、今回のDaiGo氏の発言のような「偏見を避けたい」というものなわけですね。
またいざ制度を利用しようと踏み出しても、家族の支援が受けられないかの確認や、厳しい資産の処分などを迫られ、行政窓口が時に「水際対策」と呼ばれる厳格なチェックを行うことは広く知られています。
不正受給を防ぎ、限られた税金を本当に必要な人にだけ届けようとする努力は全否定されるものではないものの、「まず親族・家族に頼りなさい」という制度思想になっていること自体も問題です。
なお蛇足ですが、私の妻もかつて「若いから」「まだ働いている父がいるから」という理由で生活保護窓口に門前払いされています。
この時、妻は実家とは没交渉で頼れる状態ではなく、自ら命を絶つことも真剣に検討していたそうです。
現行の「狭い入り口」は、同様のケースを多く引き起こしています。
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さらに「狭い入り口」を突破して活用する生活保護制度には、深く抜け出しにくいという罠が待っています。
生活保護から再起を計って働き始めると、生活扶助費の方が給料より高いという逆転現象が生じるため、労働意欲が著しく削がれます。
また基礎年金との関係性で、年金を受給している方より生活保護を受給してしまう方が豊かになってしまうという逆転現象も広く知られているところです。
こうした制度設計の不備・不合理により、生活を立て直すための一時的な利用が想定されていた制度が、むしろ恒常的で抜け出せない状態を作り出す結果に陥っています。
こうした課題を解決するために、私たちはベーシックインカムなどの最低所得保障制度を提案しています。
具体的には生活保護制度における生活費(現金)支給である「生活扶助」の部分はベーシックインカム制度に統合し、「医療扶助・住宅扶助」については据え置きすることを想定しています。
生活扶助部分は誰もがユニバーサルに受給できるものにすることで、スティグマ(偏見)を払拭し、低すぎる捕捉率という生活保護制度の最大の問題点を解消しつつ、多くの人にとっては「チャレンジのためのセーフティネット」として活用してもらい、労働市場の活性化・経済成長の起爆剤とする。
こうした社会保障制度をシンプルで公平なものに大変革していく、「日本大改革プラン」を次期衆院選でもしっかりと訴えていく予定です。
さらなる詳細は、下記のブログもぜひご参照下さい。
私の経済政策に対する考え方〜「日本大改革プラン」とベーシックインカムについて〜(藤田文武議員)
https://fumitakefujita.com/activity/2769■
今回のいわゆる「炎上」騒動が一過性のものに終わるのではなく、支援の広がりや制度改革の議論の端緒となれば幸いです。
それでは、また明日。