「彼(てき)を知り己(おのれ)を知れば百戦殆(あや)うからず」「孫子・謀攻(ぼうこう)篇」
孫子こと孫武(そんぶ)が春秋時代の紀元前5世紀に物したとされる兵法書の一節は、洋の東西を問わず「弁証法」の公理そのもの。
である筈なのに、「臭い物に蓋」こそ世界に誇るべき“江戸しぐさ”と嘯(うそぶ)く「極東の島国ニッポン」では、“口先3賢人”のドナルド・トランプ、ボリス・ジョンソン、ウラジミール・プーチンも驚愕(きょうがく)する数多(あまた)の問題先送りを恬(てん)として恥じぬ、非弁証法的「決断(いなおり)」が「良民常民(りょうみんじょうみん)」の支持を集めています。
世界に冠たる国民皆保険制度は「早期発見・早期治療」の基本に忠実だったればこそ堅持し得たのです。疾病(しっぺい)のみならず疫病(えきびょう)の場合に於いても。にも拘らず、地球上を席巻する今回のCOVID-19への「後手後手」を「先手先手」と居直るのが令和ニッポン。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議。そのメンバーの大半は、秘密組織・関東軍防疫給水部=731部隊の残党が集った国立予防衛生研究所が改組された、新宿区戸山の旧日本陸軍軍医学校の跡地に位置する国立感染症研究所で栄達(えいたつ)を遂げた、「知らしむべからず」DNAを継承する面々です。
エビデンス、クラスター、オーバーシュート、ロックダウンetc.。西新宿の“緑のおばさん=百合子ファースト知事”はいざ知らず、片仮名(かたかな)を使うなと各方面から茶々を入れられ続けた石原慎太郎翁や不肖田中康夫も顔負けな符牒(ふちょう)の数々。偏(ひとえ)に「後手後手」の証拠(エビデンス)を和らげ、良民常民を煙に巻く為の印象操作なのです。他方、もう一つの基本たる「早期診断・早期検査」は「医療崩壊」を齎(もたら)すと巧言する医者擬(もど)きや学者擬きが孑孑(ぼうふら)の如くに湧いています。
而(しか)して、スギ花粉がラグビーボール大とするなら、ゴマ粒程度の大きさで、電子顕微鏡でしか確認出来ないのがコロナウイルス。「無色・透明・無臭」で人間の五官が察知し得ぬ放射能と「相似形」なのを逆手に取って、「経済的新自由主義」の自家撞着(じかどうちゃく)を看破(かんぱ)したナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』を、有ろう事か良民常民に向けて“誤用”すべく、メディカル・コラプスならぬ「医療崩壊」の四文字熟語を持ち出しています。
2009年新型インフルエンザA(H1N1)の日本に於ける致死率は0・16%でした。02~03年に中国や香港で猛威を振るったSARS重症急性呼吸器症候群の致死率は12%。今回もパンデミック云々(うんぬん)以前に、「致死率1%の壁」を日本も超えているのか否かを確認すべき。その為に、『動的平衡』の福岡伸一、『逃走論』の浅田彰の両氏と意見の一致を見たのが、医療機関に出向かずとも実施可能な全国規模での感染率「早期調査」です。
無作為抽出で47都道府県+20政令指定都市それぞれ数百人、米英も導入済みスイスのロッシュ、韓国のコジェン・バイオテック両社の迅速検査キットで実態調査すれば、3月23日現在で3・81%の日本国内、愛知県に至っては11・11%に達している致死率を如何に捉えるべきか、「専門家」ならずとも認識を共有可能。なのに「検査不可・自宅待機」の修身を説く「Tokyoインパール2020」。
抑(そもそ)も「状況がアンダーコントロール」されているからこそ立候補した開催国は、豈図(あにはか)らんや「優柔不断」な問題先送りを続け、IOC国際オリンピック協会なる黒船「ハゲタカ号」に箸の上げ下げを委ねる局面に至っても猶、中止は困ると御託(ごたく)を述べています。
「意気地のなさ」は「誤送船団」記者クラブとて同然。3月18日付「ザ・ニューヨーク・タイムズ」が「Cancel.The.Olympics.」と見出しを冠して最後通牒(つうちょう)しても、「強行・延期・中止」の何れの茨の道を決断すべきか、何れの媒体も意見表明しなかったのです。嗚呼(ああ)、幸いなるかな、心貧しき国家よ。