「あたおかニッポン記者クラブ」まとめサイト

山国・信州の知事として『「脱・記者クラブ」宣言』を発表したのは2001年5月15日。
爾来、20年が経過しても自浄作用が働かぬ「#あたおかニッポン」を象徴する「誤送船団・記者クラブ」。
その迷走と混迷は、「弁証法」なき日本の政治や経済や社会を体現する“合わせ鏡”なのです。
2019年12月作成の「『脱・記者クラブ』宣言」まとめサイト
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『VERDAD』2021年4月号「田中康夫の新ニッポン論」Vol.93
「誤送船団・記者クラブ」

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「愚かな一地方政治家の発作的行動」。

2001年10月16日、第54回新聞大会の冒頭で渡邉恒雄(わたなべ・つねお)日本新聞協会会長は宣(のたま)いました。電子媒体が未整備だった20年前、加盟各社は挙(こぞ)って、翌日付の社会面で「託宣」を報じます。長野県政記者クラブ所属の面々から感想(コメント)を求められ、答えました。「“社会の木鐸(ぼくたく)”たる先達(せんだつ)に、斯(か)くも過敏・過剰に反応頂けるとは身に余る光栄」と。

「如何なる根拠に基づいてか、記者クラブ主催だった長野県知事の記者会見は今後、県主催とする」「『脱・記者クラブ』宣言」を、2001年5月15日に発したのは極めて素朴(シンプル)な理由です。

「思想・信条の自由」を憲法に掲げる極東の島国で、国政政党と宗教団体の日刊機関紙として、共に国内最大発行部数を有する「しんぶん赤旗」と「聖教新聞」は、長野県知事会見への出席が叶(かな)わぬ身分に留め置かれていました。

価値紊乱(かちびんらん)な「ガラス張り」を掲げて山国・信州の知事に就任した僕は、更に訝(いぶか)ります。在京・在阪・在名を始めとする県外のTV局、ラジオ局、スポーツ紙、地方紙は、事前に申請書を長野県政記者クラブに提出せねばならず、出版社系の雑誌媒体に至っては端(はな)から拒絶されていました。況(いわ)んや、組織に属さぬフリーランサーの表現者に於(お)いてをや。

「その数、日本列島に八百有余とも言われる『記者クラブ』は、和を以て尊しと成す金融機関すら“護送船団方式”との決別を余儀なくされた21世紀に至るも、連綿と幅を利(き)かす。それは本来、新聞社と通信社、放送局を構成員とする任意の親睦組織的側面を保ちながら、時として排他的な権益集団と化す可能性を拭(ぬぐ)い切れぬ。現に、世の大方の記者会見は記者クラブが主催し、その場に加盟社以外の表現者が出席するのは難しい」。

「須(すべから)く表現活動とは、一人ひとりの個人に立脚すべきなのだ。責任有る言論社会の、それは基本である」と宣言で記していた僕が、今後は県が主催し、寄稿・発表媒体名と自身の名前をフルネームで述べるルールに同意する全ての「表現者」を分け隔て無く迎え入れて質疑応答を行う旨、宣言発表当日の知事会見で伝えるや、往時45歳の僕よりも年若い記者は「有り得ない」と声を上げ、「現場主義」を返上して久しき上司に携帯電話で報告すべく廊下に駆け出しました。

逆に僕は、「誤送船団・記者クラブ」の二枚舌振りを指摘しました。長野県警察本部長と長野地方検察庁検事正の会見は何故、主催権を先方に委ねているのですかと。仮に当該組織で不祥事が続発しようとも、月に一度の定例会見までジッと我慢の「強きに靡(なび)き・弱きを挫(くじ)く」体質は何故ですかと。

内閣記者会が主催権を有するにも拘らず、有ろう事か総理大臣記者会見の進行は「慣例」で、内閣法に基づき内閣官房に置かれた内閣広報官が仕切り、「絶対に断らない女」として耳目(じもく)を集めた山田真貴子氏に続いて“白羽の矢”が立ったのは一橋大学社会学部卒業の小野日子(ひかりこ)氏。

外交官を目指す若者向けに外務省人事課作成のリーフレットで、「途上国勤務も自分を成長させる貴重な経験」と東南アジア諸国連合日本政府代表部次席公使のジャカルタ時代を語る香ばしい御仁(ごじん)です。212ヶ国中、国内総生産が世界16位のインドネシアを「新興国」ならぬ「途上国」と認識する外務省改め害・無能省の間違いだらけな「国際感覚」に驚嘆・驚愕します。

とまれ、主催権ならぬ会見「進行権」すら奪還せず、「更問(さらとい)」導入だの「フリーランス枠」拡充だのと些末(さまつ)な“やってる感”を真顔で語る誤送船団・記者クラブ。読売・朝日・日経・毎日がパートナー、産経・北海道がサポーターで雁首揃える復興五輪の「っ」が抜けて不幸五輪と化しつつある「あたおかニッポン」に相応しき狂騒曲です。

「ナイツのちゃきちゃき大放送」3月27日OA分 文字起こし
田中康夫 五輪・聖火リレースタートを語る  @miyearnzz
https://miyearnzzlabo.com/archives/73109

GDP世界第16位のインドネシアを「途上国」とドヤ顔で語る一橋大学社会学部出身「外交官」小野日子内閣広報官の発言を掲載している外務省改め害・無能省
http://202.214.194.148/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/2020_jirei/05_2020.pdf

その「国際感覚」を「一橋の女性たち」で称揚する一橋大学HP
https://www.hit-u.ac.jp/hq-mag/hitotsubashi_woman/pdf/hq14.pdf
https://www.hit-u.ac.jp/hq-mag/hitotsubashi_woman/


『「脱・記者クラブ」宣言』2001年5月15日
http://yassy.system-a.org/hisyo/press/kisya.htm
宣言発表時の会見文字起こし
http://yassy.system-a.org/hisyo/press/20010515.htm
その他の宣言一覧
http://yassy.system-a.org/hisyo/governor/declaration.htm


「田中康夫の新ニッポン論」バックナンバー一覧
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『VERDAD』2020年1月号「田中康夫の新ニッポン論」Vol.78「『脱・記者クラブ』宣言」
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『VERDAD』2018年10月号「田中康夫の新ニッポン論」Vol.63「誤送船団」記者クラブ
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「田中康夫の新ニッポン論」Vol.77「本質とはなにか」
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「田中康夫の新ニッポン論」Vol.76「おもてなし」の「眠度」
https://tanakayasuo.me/archives/25870
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