高齢者の転居や死去、高齢者住宅への入居等などで住む人がいなくなり、何年も放置されている住宅、いわゆる「空き家」が全国的に増加している。
総務省統計局「住宅・土地統計調査」によると、平成30年の全国空き家数は849万戸と過去最多で住宅総数の14%を占めている。一方、名古屋市内においても空き家は156,900戸、空き家率は12.7%に上っている。
■ 名古屋市における空き家の状況(平成30年総務省統計局「住宅・土地統計調査」)
住宅数 1,234,600戸
居住世帯のある住宅 1,070,000戸
居住世帯のない住宅 164,600戸
居住世帯のない住宅のうち空き家 156,900戸
空き家率 12.7%
■ 管理の行き届かない空き家が増えることで...
・街の治安や防災力が悪化
・景観を損なう。
・防災、雑草やごみの投棄などによる衛生上の問題
・街の衰退につながりかねない。
・空き家比率の高い街は水道や下水、公園・道路の維持管理や子どもたちの教育環境など、インフラ維持の観点からもコスト高に。
さらにかつて東海豪雨の際にも、浸水被害を受けた空き家が放置され、ごみや悪臭問題なども問題視されたこともある。空き家対策はまちづくりにおいて喫緊の課題となっている。
一方、昭和期に建てられた空き家の中には、飲食店や物販店、民泊物件や個人宅用にリノベーションできそうな物件が決して少なくない。税制や補助金等組み合わせながら、これら物件を活用する人々が増えれば、住宅地の空洞化は一定防ぐことができるかもしれない。
そのような中、那古野地区の魅力ある街づくりを進めているナゴノダナバンクの皆様とお会いし、意見交換させていただいた。
ナゴノダナバンクでは、空き店舗の有効活用を考えておられるオーナーさんと、那古野地区で新規に開業を考える事業主さんの双方を橋渡し。「家主と借主のマッチング」「出展社と地域の融合」「空き店舗活用の立案」「店舗の維持、改善の提案」「地域活性の店舗誘致」などの事業を行っており、大きな成果を上げている。
ナゴノダナバンクの成功事例を参考に、同様の仕組みが空き家が増えている住宅地でもおこなうことができないか、また、実施にあたっての課題はどんなことがあるのか、期待される効果など、検討していきたいもの。