朝日と中日への公開質問状

河村市長寄稿月間Hanada 1月号に河村市長が寄稿した「朝日と中日への公開質問状(河村たかし)」が話題となっている。

あいちトリエンナーレ企画展「表現の不自由展・その後」をめぐる問題で、河村市長が慰安婦像等が並べられた企画展を「公共事業としてふさわしくない」と批判したことに対し、中日新聞が「検閲にもつながる」「明らかな政治による圧力だ」と批判し、また、朝日新聞が「彼はきしめんのように薄い男」と評したことに対し「黙っていられない」として、二社に「抗議文」を送ったことが記されている。

また、河村市長は「二社から回答がないため抗議文を公開した」として、市民・県民の信を問おうとしている。

河村市長の主張には私も同意できるところがある。慰安婦像が芸術であるとも思えないし、天皇陛下の写真を展示すること自体が不敬でもある。多くの市民の皆さまが不愉快になることも当然だ。

一方、芸術家と呼ばれる人々が社会風刺をすることに対し、行政等が「この展示はいい」とか「この表現は不適切で撤去すべき」などと選別することは憲法上の表現の自由に反することも理解できる。行政の長である大村知事もまさにこの点に苦しんだのだろう。

ただ、河村市長、大村知事の主張は、ここまで全くかみ合わない。それぞれ一面的にしか問題を眺めようとしないところに原因がある。また、二社の社説もまた一面的だ。したがって、いつまでたっても河村市長、大村知事、二社の議論は平行線。

河村市長と大村知事の批判合戦に、二社が参戦したかのように見える構図は、あまりにも非生産的。なぜこのような問題が起こったのか、今後、いかにして多くの市民から支持され、理解される芸術展を開催すべきなのか、公共の芸術祭のあり方など、多角的な議論を始めなければならない。トリエンナーレをやめればいいという短絡的な結論だけでは、本質論に蓋をしただけの結論先送りにしかならならず、再び同様の混乱をもたらすだけだろう。
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横井利明
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