令和2年度名古屋市一般会計予算の概要が公表された。
予算総額は、令和元年度当初予算から45億円ほど増え、過去最高となる1兆2,543億円となった。新型コロナウイル肺炎による中国経済の減速、米中貿易摩擦、英国のEU離脱など先行き不透明な経済情勢の中、名古屋市は積極的な予算を組んだといっていいだろう。
一方で、河村市長は「各局から要求のあった施策はすべて予算をつける」として、メリハリのない締まりのない予算になったことは否めない。財政当局は、行財政改革で生んだ財源で施策のシフトを図るとしてきたが、潤沢な税収を背景にして、進まない行財政改革と新規施策の大バーゲンで、名古屋市が何をしたいのかよくわからない緩い予算になってしまったようにも見える。個人所得の増加による個人市民税や家屋の新増築などによる固定資産税の増収が顕著だった令和2年度予算も、世界経済等の動向を受け今後の見通しは極めて厳しいとの指摘もある。税収の潤沢な今だからこそ、あらゆる社会経済情勢に対応できる強くしなやかで筋肉質な名古屋市財政の構築を進めるべきだったのではないかと危惧する。