自宅待機を要請されていたはずの「濃厚接触者」がなぜ地下鉄に?

■ 2月27日 中日新聞
名古屋市は27日、新型コロナウイルスの感染者として26日に発表した5人のうち1人について、利用した交通機関を公表した。感染者による地下鉄の利用が判明するのは初めて。市によると、25日午前7時台の市営地下鉄名城線・名港線と、同8時台の名鉄を使って犬山方面へ向かい、同日午後5時台の名鉄と地下鉄名城線・名港線で名古屋港方面へ向かった。

■ 2月27日 中日新聞
三菱UFJ銀行は27日、江南支店(愛知県江南市)の行員1人が新型コロナウイルスに感染していたと発表した。容体は安定している。支店の同僚40人のうち10人が濃厚接触した疑いがあるとして、2週間の自宅待機と健康状態の経過観察を指示した。同行は行員の居住地や性別を明らかにしていないが、既に自治体が発表した感染者のうちの1人。25日まで勤務し、同日に発熱の症状があったため医療機関を受診した。26日夜に陽性が確認された。


2つの記事はそれぞれ別の事案として記事にされていたが、実は、同一人物について書かれたものだ。保健センターにより濃厚接触者であるとして、自宅待機などの措置が取られていたにもかかわらず、満員の地下鉄に乗車して、江南市にある会社に出勤し業務を行っていた。名古屋市の感染症対策を根底から覆しかねない深刻な事態。

各区保健センターは現在、感染者23人の濃厚接触者として1,000人余を把握。濃厚接触者であることを通知し、外出しないよう要請している。発症する可能性のある方を自宅待機とすることで、二次感染、三次感染を未然に防ぐ考えだが、それも市民の協力があってこそ。濃厚接触者が保健センターの要請に反し外出すれば、市中感染につながるだけでなく、市民はパニックに陥りかねない。

また、企業側の理解と協力も必要だ。健康観察対象者としての措置が取られた場合に、会社を休むことができる環境を構築していただかなければ、健康観察対象者は無理してでも会社に行ってしまう。実際、健康観察対象者に対して「2週間も休むのなら、会社に来なくていい。」と言い渡された事案も報告されており、会社の理解と協力は欠かせない。

そこで、河村市長に対し、健康観察対象者として自宅での待機が要請された方が、2週間、外出することがないよう市民や企業に市長としてメッセージを発信してほしいと直接訴えた。

要望文は以下の通り。

■ 新型コロナウイルス対策に関する要望書
新型コロナウイルスの感染が世界規模で拡大する中、名古屋市においても23人の感染が確認され、市民の不安は日に日に高まっている。

このような中、コロナウイルス感染者の濃厚接触者については、自宅待機などの措置が取られるとともに、毎日、本人宛に保健センター職員から1~3回程度電話をかけ、健康状態等について確認がなされている。

しかしながら、健康観察対象者としての措置が取られていたにもかかわらず、勤務先へ出勤し、その後、コロナウイルスに感染していたことが判明するという事例が発生した。

当該人物は、地下鉄等の公共交通機関を利用し、名港線、名城線、名鉄線と朝の満員列車を乗り継いで通勤し、通常業務をおこなっていたとのことであり、感染拡大防止の観点から非常に由々しき事態と言わざるを得ない。

これは単に、感染者個人の問題にとどまらず、勤務先企業の危機管理体制の甘さも露呈したものであり、一刻も早い対策が必要である。ついては下記の事項を要望する。

1. コロナウイルスの感染拡大を防止するため、健康観察対象者に対する措置が徹底されるよう、周知・啓発に努めること。
2. 企業等に対して、職員の健康管理の把握を徹底するよう求めるとともに、感染が疑われるような場合は、該当職員の出勤停止などの措置を速やかに行うよう強く要請すること。
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横井利明
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