新型コロナウイルス感染症の拡大で南区と緑区のデイサービスセンターに休業要請。
介護保険の要支援・要介護認定を受けた居宅の高齢者の方に入浴や食事の提供、その他日常生活上の世話や機能 訓練などを日帰りで受けていただく「デイサービスセンター」への突然の休業要請は、対象となった南区・緑区でデイサービスを提供する事業所、同地域にお住いの利用者の方々に衝撃を与えた。
元来、デイサービスセンターは利用者の方々にとって生活そのもの。介護を必要とする方々の生活に施設の休業が甚大な影響を与えることを理解したうえで市が要請した以上、多くの事業所は休業要請を受け入れると思われる。一方で市は、介護事業者に対する通知の中で、「どうしてもデイサービスの提供が必要な場合にはこの限りではありません」と、今回も曖昧な対応。その結果、デーサービスを継続して提供する事業所は、ヨコイの調査によって少なくないことが浮き彫りになっている。確かにデイサービスの休業で、食事や入浴など生活そのものに支障をきたす高齢者の方々も多く、やむを得ない面はあるものの、市の曖昧な姿勢が結果的に休業に協力した事業所の努力を無駄にしないよう祈るばかりだ。
ただ、介護報酬の相次ぐ削減や人件費、食材費、物件費等の高騰により、ほぼすべての「デイサービスセンター」は赤字経営。2週間の休業でさらに赤字幅が数百万円程度拡大することが予想され、経営への影響は甚大だ。厚生労働省は雇用者に対する助成制度(被保険者のみ)を拡充しているものの、市は事業所に対する休業補償を予定しておらず、各事業者にとって休業に伴う減収はさらに経営を圧迫する見込み。
なお、ヨコイが理事長をつとめる「デイサービスセンター」も、市が休業要請をおこなった3月6日に今後の対応を協議。3月7日から2週間、休業することを決め、利用者に対して説明をおこなった。また、利用者への代替サービスについても、利用者への電話訪問にとどめ、感染拡大への懸念から実施しないことを決めた。
■ 名古屋市で2つのクラスター発生
大村秀章愛知県知事は、3月5日の記者会見で、「名古屋市を中心に、クラスターと呼ばれる新型コロナウイルス感染症の集団が2つ発生している」という認識を示した。34人がスポーツジムの利用者や利用者と接触するなどしたスポーツジムクラスター、23人が緑区の病院で感染が確認された方々や同居していた方々、緑区のデイサービスセンター等を利用していたデイサービスセンタークラスター(3月7日午後10時現在)ということが確認されている。
名古屋市は新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者の追跡等により、スポーツジムクラスター関係の健康観察対象者を把握。ほぼ抑え込むことができている模様。一方、デイサービスセンタークラスターは、健康観察対象者を把握しているものの未だ拡大中であり、南区・緑区の各デーサービスセンターなど福祉事業所等の協力を得て、一気にクラスターを抑え込みたい考え。なお、名古屋市は区市町村別新型コロナウイルス感染者数で日本最多となっている。
経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度(大企業:1/2 中小企業:2/3)。ただし被保険者のみ対象。