第二波に備えPCRの選択と集中を

名古屋市内の新型コロナウイルス感染症による死者23人のうち、18人がデイサービスセンタークラスター、いわゆる高齢者施設で感染し亡くなっている。その割合は実に78%。つまり、高齢者施設内では感染が一気に拡大し、その致死率が非常に高いことが理解できる。

一方、報道によると、アメリカ国内の新型コロナの死者約11万人のうち、約3分の1が高齢者施設で亡くなっている。さらにWHOは、ヨーロッパで亡くなった人の約半数が介護施設で暮らしていた人たちだと指摘している。

この現実をどう受け止め、第二波に備えてどのように対応すべきか。

私は介護施設利用者と濃厚接触せざるをえない介護従事者に症状の有無にかかわらず定期的なPCR検査を義務付ける必要性があると考える。つまり、PCR検査という限られた医療資源を高齢者施設で働く介護従事者に「選択と集中」し、感染している職員を早期に発見し早期の治療に導くことで、介護崩壊や医療崩壊につながりかねない介護施設内でのクラスターの発生を抑止する。

万が一介護施設で働く職員がPCRで陽性となれば、当然、必要に応じて治療したり休養したりする。陰性化すれば業務に戻ればいい。潜在的に多くの職員が「感染しているかもしれない」「感染させるかもしれない」という恐怖を抱えながら、業務を行っている現状を、実際の現場から生の声で聴いているが、そのような不安の解消にもつながる。

問題は安定的にPCR検体採取をおこなう医療人材。

厚生労働省は4月26日、新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査の体制拡充に向け、感染が疑われる人の検体採取を医師だけでなく歯科医も可能にすることを決めている。平成25年版名古屋市統計年鑑によると、名古屋市内の歯科診療所数は1,446施設、歯科医師数は2,171人。歯科医師の先生方の力をお借りして、介護施設へのPCR検査の「選択と集中」をおこなえば、限られた医療資源の中で的確確実に、PCR検査を実施することは可能だ。コロナ禍の中で、経営がひっ迫している歯科診療所の支援にもつながる。

いずれにしても、新型コロナウイルス感染症ワクチンが開発されるまでの間、いかに感染症による死者を減らすか、高齢者の感染拡大による医療崩壊をいかに抑止するかが私たちにとって最大の使命であり課題でもある。第二波に備えPCRの選択と集中を議会として提言するとともに、急に検討する必要がある。
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横井利明
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