コロナで加速した中央集権

新型コロナウイルス感染症が名古屋市内で確認されてから1年余が経過した。いまだ治療法は確立せず、また、コロナワクチンの接種も遅れがち。感染力の強い変異株の感染拡大で、この愛知・名古屋にも緊急事態宣言が再び発出される可能性も出てきた。未知の経験に振り回され、まさに国政も地方政治もうまく機能しない状態が続いている。

今回の新型コロナへの対応をめぐり、目立つのは中央集権。中央が地方をこと細かにコントロールしようとして、うまくいかないケースが多くみられる。例えば、特別措置法で休業要請や時間短縮要請の権限は都道府県知事にあるのに、その補償のメニューはすべて国の決めた通りに進めなければ財源が保証されない。時間短縮の内容、保障対象事業者、補償金額、地方の負担割合などすべて国のメニュー通り。地域の実情等はさまざまであるにもかかわらず、地方独自の対応が困難な事象が目立った。

確かに国は、新型コロナ対策の補正予算で「新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金」を配分し、地方が責任を持って対策を進めていくことを認めようとしているように見える。

■ 新型コロナウイルス済感染症対応地方創生臨時交付金(名古屋市分合計)
第1次 33億9,000万円
第2次  123億7,600万円
第3次 56億8,300万円
合計 214億5,000万円

しかし、国のコロナ対策関連予算のうち、地方の裁量はほんのわずか。都道府県や市町村が支援対象事業者を選定しつつ支援金額を考えるなど地域の実情に応じて新型コロナ対策を工夫したり、議会もチェック機能を強化したりすることで、市民の皆様への説明責任もはたされ、行政の透明度も増す。市民の関心もずっと高まるはずだ。

国と地方の関係が「上下・主従」から「対等・協力」に変わった平成12年の「地方分権一括法の施行」から21年が経過したが、新型コロナのような事態になると、地方自治体の実情に合った財源や権限が極めて不足していることを思い知らされる。国はや防衛、外交など安全保障を確実に対応し、一方で、地方は権限、財源の拡充によって地方の実情に合った対策を進める。コロナ禍をきっかけに「地方分権」を大きく進めたいものだ。
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横井利明
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