今日午後、私の事務所に65歳ぐらいのご夫婦が飛び込んできた。公園でねこにエサをやる人がいて、近所の方々が困っているという。ご近所の声を集めていただいた。
■ ねこに関するご近所の苦情(聴き取り)
・公園内でのらねこにエサをやる人がいて困っている。発泡トレイにエサをのせ、ねこに食べさせているが、エサを狙ってカラスまで集まるようになってきた。
・残ったエサが散乱し公園が臭い。
・自宅が公園の真ん前にあるため、ねこが玄関先の庭の土を掘り返したりフンをしたりするため、やむを得ず玄関先全体にコンクリートをはった。年金から数十万円出したら、生活が厳しくなった。
・ねこを見るだけでもストレスになる。助けてくれ。
・うちの主人はねこアレルギー。自宅敷地にまで公園に集まったねこが入ってくる。
ご夫婦は窮状を続けて訴える。
「南土木事務所や保健センター、そして警察にも訴えた。南土木事務所は公園内にエサやり禁止の看板を立ててくれたが、一向にエサやりは止まらない。結局、誰も動いてくれない。助けてほしい。」
よくある地域のトラブルだが、根の深い問題だ。私も何度かねこにエサをやっている方に声をかけたことがあるが、中には逆切れする人も。数年前にもハトおじさんに公園内でのエサやりを注意したところ、2人の住民が殴られ、けがをしたという事件も南区で発生している。南警察署では、エサをやっている人に声をかけないように指導しているが、それだけでは抜本的な解決にはつながらない。
さて、名古屋市は「TNR活動」「地域猫活動」など、のらねこに対する取り組みを進めている。
■ のらねこに対する取り組み
名古屋市は「名古屋市動物の愛護及び管理に関する条例」に基づき地域猫対策を推進するために、市民のみなさまへの支援等を行っている。また、令和2年3月に策定した「名古屋市人とペットの共生推進プラン」に基づいた事業を実施することで、収容される犬猫の年間殺処分頭数をゼロにすることを目指している。
〇 TNR支援事業(名古屋市のら猫の避妊又は去勢手術支援事業)とは
TNR活動とは、のらねこを捕獲(Trap)し、避妊又は去勢手術を実施(Neuter)したのちに元の場所に戻す(Return)活動。のらねこの頭数を抑制する人道的な方法として国内で広く行われている。市民の方が、市内に生息するのらねこのTNR活動を行う場合に、一律の金額で避妊又は去勢手術を行えるよう支援する。
・実施者の自己負担額
避妊手術(めす)4,000円
去勢手術(おす)2,000円
〇 地域猫活動の効果
・子ねこが増えない。
・エサの散乱や腐敗による環境悪化を防止
・ねこの尿のにおいがうすくなる。
・フン尿による被害が減少
・繁殖期の鳴き声がなくなる。
TNR活動に熱心なグループの皆様もおみえになることも事実だが、なかなか浸透していないのも事実。のらねこにエサをやるだけでなく、同時に子ねこを増やさない、エサの散乱や腐敗による環境悪化を招かいないといった基本的なマナーを守っていただけると、人とペットの共生社会が推進されるのだが...今のままではのらねこにエサやりをする方と、迷惑をこうむっている方との間で、対立が激しくなるばかりだ。