確認表示板や説明なく着工し紛争に

確認表示板「訳の分からない工事が行われ不安」

市民の方からこんな相談が寄せられた。

建築現場へ向かうと、すでに基礎工事が終わった状態。にもかかわらず「確認表示板」が設置されていないため、どんなものが建設されようとしているのか確かに不明で不安だ。

さて、建築基準法第89条第1項では建築確認申請がおりて着工と同時に「確認表示板」を設置しなければならないとされている。

(建築基準法第89条第1項)
第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事現場の見易い場所に、国土交通省令で定める様式によつて、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る同項の確認があつた旨の表示をしなければならない。

また、法では表示を怠った場合の罰則についても「50万円以下の罰金」と定めている。

(建築基準法第103条第3号)
次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
第77条の29第2項又は第89条(第87条の2又は第88条第1項若しくは第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

IMG_1670その日の夜、建設業者さんに「なぜ表示をしなかったのか」とうかがったところ、「忘れていた」とのことだったが、この言葉をうのみにした住民は誰もいない。むしろ誰が工事をしているのか、何の工事をしているのかわからないようにしていたと感じた住民が多かった。

また、現場管理もずさん。私が現場に出向いた時も幅員2.5mの歩道を覆うようにトラックが駐車。キャリアカーをひいたおばあさんが、歩道がふさがっていたことから、一旦、キャリアカーを車道に降ろし駐車が終わったところで、再び歩道に引き上げ歩いていた。もちろん、警察への道路使用許可も提出されていない。現場監督もおらず、下請けの方が作業をしているだけで話をしても的を得ない。

IMG_1663この現場は「9戸アパート」。戸数が10戸をこえると駐車場の付帯義務が生ずるため、9戸で止める物件は確かに多い。また、物件の高さは9.77m。建築高が10mをこえると中高層建築物となり日影規制が出たり付近への説明義務が生じたりするため10mギリギリの高さにしているアパートは多い。

そのため、アパート建物は三方が敷地一杯。高さが10mであることから、まわりの住戸には1年を通して1日中、全く陽の光が入らない部屋も出る可能性がある。そうした疑問や反対の声が出ないように「確認表示板」を設置しなかった可能性を住民は指摘する。

なお、この「9戸アパート」はすでに投資家に販売済だという。どこの誰が所有するともわからない「投資アパート」。住民の下へ説明に来たのは20代のお兄さん方には、ぜひ周りの住民の「痛み」も感じてほしいもの。
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横井利明
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