□■混沌を愛せよ
怒濤の1年であった。
例年の6割にも満たない本数に法案を絞って、参院選前の争点化を極力避け
ようとする岸田政権。一方、2月にはロシアのウクライナ侵略が始まり、国際的な安全保障環境は激
変した。19年ぶりの大国による直接的な戦争行為は、国際社会を震撼させた。
また、コロナ禍の悪夢も覚めやらぬ中、円安、物価高が進み国民生活は急激
な悪化をたどった。また、コロナは次々に変異し、蔓延を繰り返した。安倍元総理への凶行は、その後、旧統一教会問題へと展開し、政治がカルト
集団によってねじ曲げられてきたのではないかという、不安が国民を襲った。更には、岸田政権の支持率急落を受けて、「聞くチカラ」どころか正反対の「聞
かないチカラ」の発揮によって、防衛3文書でのいわゆる敵基地攻撃能力、反撃
能力の明文化、5月の閣議決定との合わせ技で、安保法制の大転換を国会審
議なしで、強引に推し進めた。そして、とうとう、この年末には増税の方向を決定するに到った。
ある意味、安倍政権よりも強行に、国民的議論を行わずに独断で決める岸田
政権の舵取りに、この国の先行きに「真の闇」を見る思いでもある。ネットで話題の、タモリ氏による「新しい戦前」という言葉が、現実味を帯びる不
安を、ネット民のみならず国民が感じている。岸田総理は、防衛費増税の前には解散総選挙を行う、とも発言した。
来年は解散総選挙が十分に起こりうると思う。
旧統一教会問題で、ここまで支持率を下げて、解散はないだろうという人も居る
が、むしろ逆だろう。臨時国会で救済法案を通した。支持率低下は底を打った。
これが岸田総理の頭の中にあるのではないか。閣僚の交代を終えて、来年からは、野党が支持率を上げられない中でジリジ
リと政権支持率を上げられる、解散総選挙を「早駆け」で実施する。再来年まで引っ張ろうとすれば、政局を仕掛けられる恐れがある…。
総理の頭の中では、こんな思いが駆け巡っているのではないか。
従って、来年、早ければ、広島サミット後。
夏前には総選挙のタイミングを計られる事態が、起きると考えておかねばなら
ない。想像も出来ない事態。「想定外」という言葉が、かつて危機管理の中で、免罪
符のように使われてきたが、むしろ想定できることの少なさを私たちは、理解す
べきだろう。AIやIoTや、と人知を超えた劇的な技術革新が次々に起きてくるだろうが、そ
れでも、私たちが「想定内」と考えることは、まだまだ、わずかでしかない。むしろ、有史以来の人類は、常に生存を脅かされながらも、たくましく生き抜い
てきた種が、今日に繋がってきている。つまりは、常に想定外の中で闘い、判断
し、行動してきたのである。だから、恐れる必要はない。
常に、時代は混沌に満ちていた。
その混沌の中でこそ、生きぬくチカラを見いだすことができ、また、リーダーたる
ものが、現れてきたのである。初当選以来、20年を数えることになる2023年。
何も恐れることなく、歩みを進める。
そして、自らに、言い聞かせる。
「混沌を愛せよ」、と。
The post まぶちすみおの「不易塾」日記 2022年(令和4年)12月31日(土)第1905号 □■混沌を愛せよ first appeared on 馬淵澄夫(まぶちすみお)奈良県第1区選出 衆議院議員.