中国の新興企業デイープシーク(DeepSeek)が開発した生成AI(人工知能)が、世界を激震させている。高性能な上に低コストだからだ。開発成功の背景、そして今後の世界への影響を考える。 ディープシークの創業者は梁文鋒(Liang wen feng リャンウェンフォン)で、1985年に広東省の湛江市で生まれた。幼少時より成績優秀で、高考(ガオカオ、大学統一入試)ではトップで、浙江大学に入学した。大学では電子情報工程に進み、大学院修士課程は情報・通信工程に進学した。 修士号取得後、2015年に、「幻方量化(High Flyer Quant)」というヘッジファンドを設立し、AIを活用して株取引で大きな利益を上げた。その後、2023年7月に浙江省の杭州市に「杭州深度求策人工知能基礎技術研究(深度求策)」、ディープシークを設立した。 この新興企業の研究者の大半が中国一流大学の卒業生で、社員は140人である。アメリカ留学組を排除する方針で、技術の国産化を図っている。 驚くべきなのは、ディープシークのV3が開発にわずか2ヶ月、約560万ドル(約8億7千万円)しかかかっていないことである。開発費については、アメリカのオープンAIのGPT4は約7800万ドル(約120億円)、グーグルのジェミニ・ウルトラは約1億9100万ドル(約300億円)である。まさに10分の1以下の開発費である。 この低コストが実現できたのは、既存のAIモデルが出力するデータを使って新たな生成AIを作るからである。この手法を「蒸留」と呼ぶが、ディープシークは、オープンソースとして続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
ディープシークの衝撃・・新たな米中対立、取り残される日本
