区民の負担ゼロで豊島区役所新庁舎取得

IMG_2724豊島区役所新庁舎(平成27年5月竣工)整備に至った豊島区の説明をうかがうため、豊島区役所を訪れた。

東京オリンピックメインスタジアムや新品川駅、御園座の設計でも有名な隈研吾建築都市設計事務所が外観デザイン監修、10 階には昭和初期までの豊島区の自然を再現した屋上庭園「豊島の森」、4階、6階、8階にはグリーンテラスを整備、そして建物全体を美術館にみたてた「まるごとミュージアム」。地上49階、地下3階建て(地下2階が東京メトロ有楽町線東池袋駅と直結)の超高層ビル、1階から10階までが台形状の建物で、そのうえに直線的なフォルムの高層マンションがそびえ立つ外観となっている。

この建物は、総事業費435億円をかけて建設された豊島区役所新庁舎等。なお、分譲マンションと一体となった庁舎建物は日本では初めてとのこと。

IMG_2723「なんて贅沢な」「税金の無駄遣いではないか」といった声が聞こえてきそうだが、実はこの区役所は、権利床の取得と保留床の購入費等を旧庁舎跡地の資産活用収入で賄うことにより、区民に新たな負担をかけずに新庁舎を整備している。いや、むしろ、豊島区はこの事業で48億円の黒字を出している。

IMG_2718■ 背景
豊島区役所旧庁舎は 昭和36年に建設。手狭で老朽化が著しく、また、区役所本庁舎、別館分庁舎A館、分庁舎以館、池袋保健所、区民センター、生活産業プラザなど分散する窓口の解消の必要、混雑する窓口スペース、災害への対応など従前から建替えが議論されていた。

IMG_2717しかし、リーマンショック等により、豊島区は財政危機に陥り、財政再建団体への転落がささやかれる中、新庁舎建設は断念。その後、高野区長による行財政改革が大きな効果を上げる中、小学校跡地等の活用により区民に負担をかけずに新庁舎整備を検討する方針(素案)が公表され、平成20年に再開発事業の活用による新庁舎建設の方針を決定した。

■ 豊島区役所新庁舎の事業スキーム
新庁舎・分譲マンションを含む 49 階建ての建築物(としまエコミューゼタウン)を組合施行による市街地再開発事業により建設。豊島区は、従前地権者として統廃合によって閉校した小学校跡地や児童館跡地に相当する権利床を取得(85億円分)するとともに、不足分については保留床を136 億円で購入して新たな庁舎としている。また、その財源として、移転前の旧豊島区役所庁舎跡地並びに、隣接する豊島公会堂を含む約 6,600㎡の敷地を定期借地で開発する条件で公募を行い、76年6か月間の定期借地の賃料として得た191 億円の一括前払い金を136 億円の新庁舎整備費や移転費にあてた。さらに再開発事業に対する国の補助金106億円の交付も受けている。さらに大規模改修を見据えた修繕積立を実施している。

IMG_2716■ としまエコミューゼタウン建物の概要
1階の一部と3階から9階まで豊島区役所。1~2階は商業施設、11~49階はマンション「ブリリアタワー池袋」。マンション内には、屋上スカイガーデン、ゲストルーム、コンシェルジュ、トランクルーム、トレーニングサロン、ラウンジなど豪華な設備を有する。億ション。

池袋駅から徒歩10分という好立地だからこそ実現した事業スキームであることは間違いないが、今後、名古屋市でも中村区役所の建て替えが予定される中、従前の税金を投入し多額の起債(借金)を抱えて、市民の負担によりハコモノを建設するといった安易な整備手法では、持続可能な財政運営の実現といったアセットマネジメントの精神にそぐわない。今回の豊島区役所新庁舎整備手法を今後の本市におけるさまざまな事業に生かせるよう、工夫していきたい。
PR
横井利明
PR
minami758をフォローする
政治家ブログまとめ