ようやく学校給食室にスチコン本格導入へ 名古屋市予算から

小学校に通う子どもたちにとって、給食はとっても楽しみな時間。食を通じて地域等を理解することや、食文化の継承を図ること、自然の恵みや勤労の大切さなどを理解することも期待されている。

一方、調理の現場はかなりの重労働。調理場は火を使った作業が多いことから、ただでさえ暑い夏場は調理所が地獄と化す。中には熱中症で気分の悪くなる職員も多いとうかがっている。また、調理は作業工程が多く相当時間を要する一方、給食の時間は決まっており調理現場はまさに戦場だ。

そういった過酷な調理現場で働く調理員さんの労働環境の改善を目指し、私たちは給食調理所にスチームコンベクションオーブンを導入するなど、業務の改善を進めるよう名古屋市に促してきた。

■ スチームコンベクションオーブンとは
スチームコンベクションオーブン(スチコン)は、熱風を対流(コンベクション)させることのできるオーブンに蒸気(スチーム)を発生させる機能を付けた調理器具。熱風の対流を起こすことで、食材に均等にかつ素早く熱が入る。さらに蒸気を利用することで、スチコン1台で「焼く」「炒める」「揚げる」「茹でる」「煮る」「蒸す」「炊く」といった調理工程を全てこなすことが可能。従来、それぞれ行っていた作業工程をボタン一つでこなすことができることから、全国の学校給食で導入が進んでいる。

さて、本市の給食調理所におけるスチコンの導入は平成29年度、明治小学校(南区)、千代田橋小学校(千種区)から始まった。以降、毎年2台ずつ導入し、令和3年度でようやく10台が導入されることになる。

しかし市内の小学校数は260校。残りの250校に毎年2台ずつ導入すると125年が必要となる。本市は労働環境の改善に全く関心がないといわざるを得ない状況だったが、ようやく令和4年度予算で「スチームコンベクションオーブンの導入拡大に向けた調査・設計」が予算提案された。

■ 令和4年度予算「スチームコンベクションオーブンの導入拡大に向けた調査・設計」
・予算額
800万円
・事業の概要
(1) スチームコンベクションオーブンの導入拡大に向け、大規模な小学校(601食以上)を対象に、導入可能性調査及び設計を行う。
(2) 内 容
・給食調理場の現地調査55校
・調査結果を踏まえた設置工事の設計20校

平成29年度から中規模校を中心に調理場にスペースの余裕のある学校に、年2校程度、導入を進めてきたが、今後は導入効果の大きい、大規模な小学校(601食以上)を対象に、導入可能性調査及び設計を行うこととなった。民間保育園の調理現場では調理職員の要望が強く、業務の効率化に欠かせないスチコンの導入は当たり前になっているのに。遅いなあ~
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横井利明
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