課題を超えて

 JR根室本線の災害復旧や維持・存続にかかわる懇談、豪雪によるハウス倒壊被害の調査、コロナ禍での町づくりについて懇談など、新得町から上川管内へとまわりました。各自治体で青柳茂行・新得町議、生出栄・東神楽町議、鶴間松彦・東川町議、佐藤和三・前中富良野町議が同席しました。

 JR根室本線は2016年の連続台風で被害を受け、復旧されないまま4年半が過ぎました。十勝管内と上川管内を結び、北海道の中心を走る文字通りの「背骨」となる路線なのに、東鹿越(南富良野町)~新得(新得町)間は代行バスを走らせ、しかも3月のダイヤ改正では不便を助長するように減便もされます。南富良野町の幾寅駅は映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地で、駅舎はじめ展示も残されていますが、線路は除雪もされず雪に埋もれたまま。父親が鉄道員で数多くの思い出があるという南富良野町・池部彰町長は、この現状に「涙が出る思いだよ」と語られました。日高本線もそうでしたが、まずは復旧しなければ乗客数の増加さえも見込めないのに、廃線ありきのごとくJRは復旧しようとしないのです。「ガマンも限度」(池部町長)との思いが、痛いほどわかります。

 管内をまたぐわけですから、広域自治体である道の積極的役割が求められます。「背骨」としての位置づけをもつ路線の維持か廃線かを、人口が数千人の町に、その決断や責任を求めるのは厳しい。連続台風以前に自分でも乗車した新得町・浜田正利町長は、乗員の多くは観光客だったといいます。新得町と南富良野町は隣町とはいえ峠を挟み、生活上では両町民が利用することは多くありません。しかし「背骨」であるゆえに、線路がつながっていること自体に意味があるのです。新得町ではJAでも、北海道と本州を結ぶ物流網についての意見もうかがいました。維持・存続の意義を、くりかえし私としても訴えていきたいです。

 一昨日の大雪で、富良野市・上富良野町・中富良野町では約300棟もの農業用ハウスが倒壊しました。写真は中富良野町にてメロン・イチゴ農家の100mハウスですが、映っている先に行くほど雪の重みでハウスがつぶれています。この農家では12棟のうち5棟が倒壊して、今の時期はメロンの種を植えるのですが、さすがに断念したといいます。「長く住んできたが、この時期の大雪は初めて」とのこと。ハウスへの雪害は何度も見てきましたが、これを機に離農しようかとの思いが湧く農家もいるもとで、国や関係機関が支えてきた歴史があります。共済には加入しているそうので、私から「早く支払われるように求めていきます」と話しました。

 町づくりの点では、東神楽町・山本進町長と東川町・松岡市郎町長からご苦労や努力の一端をうかがいました。東神楽町では人口が自然減の局面になってきたとのことですがペースは緩やかですし、東川町は「友が友を呼ぶ」ように移住されている方がいると聞きます。懇談させていただくなかで共通して感じたのは、子育て支援への手厚さでした。広く知られるようになった「君の椅子」プロジェクトに、両町とも参加していることに示されているように思います。子育て支援は全国的問題として国が責任を果たすべきですが、そのうえで各自治体が上乗せする形で「安心して子育てできる」「楽しく子育てできる」町づくりを進めているのです。

 東川町には全国初となる公立日本語学校もあり、正式な開学から5年が経ちました。鶴間町議が、その卒業生などとも交流があることから話を聞く機会もあり、思わぬ文化交流など盛りだくさんの1日となりました。まだまだ続くコロナ禍ですが、克服できた後は、これまでと違う国際交流のステージに上がるような気がします。「Think Globally , Act Locally」を実感しています。

 【今日の句】まわるたび 見える変化と 可能性

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畠山和也
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