石破 茂 です。
能登半島沖で北朝鮮の漁船が水産庁の取締船(傭船)と我が国の排他的経済水域において衝突して沈没した事案につき、発生当初の大々的な報道が翌日以降、急に小さな扱いしかされなくなったのは何故なのでしょうか。北朝鮮船は急に進行方向を変え、取締船の正面に出て衝突を招いたのですから、これは故意によるものと考えるのが妥当だと思うのですが、「衝突」を「接触」と報道していたことにも妙に違和感を覚えました。
民主党政権時に発生した2010年11月4日の尖閣諸島中国漁船衝突事件や2012年8月15日の香港活動家尖閣諸島上陸事件との類似性を想起したのは私だけではないはずです。日本海で操業する漁業者は日々ミサイルや違法操業などの北朝鮮の脅威に晒されているのであって、ビデオの公開、排他的経済水域における抽象的危険犯である公務執行妨害罪成立の可否など、多くの論点について詰めた議論と対応が必要です。
衆議院本会議の論戦は、あまり聞き応えのないものに終始してしまいました。本日の予算委員会においても同様で、「違法操業の事実は確認できない」との答弁がありましたが、では何故、取締船は当該水域で北朝鮮船に対して放水を行っていたのでしょうか。排他的経済水域とはいえ、公海上で何らの違法行為も行っていない外国船に対してそのようなことが許されるとも思えず、何らかの基準があって放水に及んだはずです。撮影された映像は公開の方向、と本日予算委員会で総理が答弁されましたが、早急な対応を望みます。本日の予算委員会ではまた、党議決定された自民党憲法改正草案と一昨年の自民党大会で報告された「叩き台・四項目のイメージ案」との関係について問われました。安倍総理は「党大会という最高意思決定機関において報告された案が我が党の案である」というような答弁をされました。委員会の議事録をよく精査する必要がありますが、党大会で承認の手続きを経た記憶はなく、「報告」という形式のものが正式な手続きを経たものよりも優先することはないでしょうから、ここについても明確な整理が必要です。
また、本日の憲法改正推本部の会議では、「24年草案は野党時代ものであり、与党として衆参両院の三分の二の賛成を得るためには変更は当然あり得る」という趣旨のご発言が本部長からありましたが、その改正草案を掲げて政権に復帰したという事実も併せて考える必要があります。その時々に都合の良い理屈を用いると思われるようなことがあってはならず、民主主義に対する怖れを失ってはなりません。11月号の「Voice」に掲載されている中西輝政・京大名誉教授の「韓国を『敵陣営』に回してよいのか」、河合雅司・前産経新聞論説委員の「『全世代型社会保障改革』への違和感」の二つの論考は示唆に富むものでした。全く違う立場からの論考も載せた文藝春秋の11月号と併せてご一読をお勧めします。
週末は、12日土曜日が鳥取大学附属中学校同窓会総会(午後6時・鳥取ワシントンホテルプラザ)、「どんどろけの会」総会(午後7時・鳥取市内)。
14日月曜日が東京鳥取県人会総会・懇親会(正午・都市センターホテル)、という日程です。
台風の影響でどうなるかわかりませんが…。また千葉県の方々をはじめ、今次の台風でさらなる大きな被害が出ないことを切に願います。
今週は木曜、金曜と終日予算委員会に出席しておりましたため、簡略な記述となってしまいました。何卒ご容赦ください。
荒天の予想ですが、皆様ご健勝でお過ごしくださいませ。