鳥取市議会議員選挙など

 石破 茂 です。
 経済再生担当相、法相、総務相と閣僚の辞任が続いていますが、ここは何とか乗り切らねばなりません。問題点が指摘された閣僚は、論点を逸らしたり、その場しのぎの不誠実な言い逃れをすることなく、真実を明らかにしたうえで詫びるべきは真摯かつ率直に詫び、国民の納得が得られるように努めなくてはなりませんし、大臣を支える官僚達もたとえ大臣の機嫌を損ねることがあっても率直に諫言すべきです。私もかつて閣僚在任中、部下の率直かつ適切な諫言で救われたことが多々ありました。
 夕刊紙や週刊誌では後継内閣に向けての党内の動きが面白おかしく報ぜられていますが、頻繁に内閣を代えてよいわけがありません。昨年9月に、党員投票や報道機関の世論調査では下位にあった岸田氏を、自民党国会議員の多数で総裁に選び、衆参本会議で内閣総理大臣に指名したのですから、その責任は国民に対してきちんと負わなくてはなりません。内閣に足らざるところがあればそれを指摘し、補うのが与党の責務なのであって、批判もせず、意見も言わず、阿諛追従ばかりしているような態度があるとすれば、それはかえって内閣の足を引っ張ることになるのです。

 

 前回の本欄で、日本政府の言う「北朝鮮のミサイル発射に対し、北京の外交ルートを使って強く非難し厳重に抗議した」とは、誰が誰に抗議し、どのような反応があったのか」と外交部会で指摘したことを紹介しましたが、今週の同部会で外務省から「北京には日本も北朝鮮も大使館を置いており、日本大使館のその任にある者が東京の政府の命に従い、その意を受けて先方の担当者に伝えたということであって、外務省から直接中国政府に伝えたということではない」との回答がありました。そうならそうと前回言うべきだったと思うのですが、「誤解を招いたのなら訂正します」との慇懃な説明をいただきました。

 

 「ナショナリズムに訴えれば、当然、『北朝鮮は悪い』という認識を限りなく増幅させることになる。『実際、北朝鮮は悪いではないか』という反論があるかもしれない。拉致問題に関する限り、確かにそうであろう。しかし、だからといって『北朝鮮は悪い』という認識だけにしがみついて国内で集会をしてシュプレヒコールを挙げているだけで、二国間の問題が全自動洗濯機のように勝手に解決されるわけではないのである」「このことは、日本の戦争責任を問いたい中国の人々が、いくら『日本は悪い』というナショナリズムの心情を高揚させて中国でデモをしたりしても、そのことによって日中間の問題が自動的に解決するわけでは決してないことを考えれば、小学生でも簡単に理解できることだろう」「拉致問題を本当に解決したいのだったら、北朝鮮との間に持続的かつ緊密な関係を作らなくてはならない。これは核問題やミサイル問題に関しても同じである。このような関係の構築を通してのみ、二国間の関係を解決できるのである。でなければ戦争をするしかない。戦争が出来ないのであれば、緊密な関係を構築する以外に選択肢はただの一つもないのである」
 長い引用をしてしまい恐縮ですが、小倉紀蔵・京都大学教授はその著書「北朝鮮とは何か 思想的考察」(2015年・藤原書店)でこのように論じておられます。
 相手のある外交ですから、言えないことが多くあることはよく承知していますし、これは安全保障でも同じことです。しかし、単に「あれも言えない、これも秘密だ」ばかりでは、国会における議論や国民に対する真摯な説明や説得にはなりません。日本人の外交感覚や安全保障感覚が、単なる感情的なナショナリズムに堕することなく、正しく醸成されていくためには、我々政治の任にある者がより深く学び、考えなければならないことを痛感します。

 

 さる20日日曜日に鳥取市議会議員選挙が投開票されました。自民党公認・推薦の現職、保守系会派所属の現職、公明党公認候補の方々の街頭演説などのお手伝いは致しましたし、それなりの成果は得られたものの、投票率は史上最低を更新して40%を切るという結果になりました。
 鳥取は地方創生において多くの優良事例を積み重ねてきていますが、これだけの低投票率となると、一抹の危惧を感ぜざるを得ません。コロナのせいばかりではないでしょう。有権者に対する語りかけを、自分としてもさらに高めていかなければと反省しております。
 加えて、当選した自民党籍を持つ議員が傷害の疑いで逮捕されるという事態となりました。自民党鳥取県連として、事実が明らかになった時には当然適切に対応しなければなりません。県連会長として、市民・県民・党員に心よりお詫び申し上げます。

 

 クリスマスのイルミネーションで街は彩られつつあり、早くも来週は師走となります。今秋の都心は寒暖差、気圧差の大きい日々でした。
 皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

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石破茂
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