「モーレツ社員」など

 石破 茂 です。
 ビッグモーターの兼重前社長のような経営者や上司は昭和の昔だけではなく、今も相当数いるに違いありません。兼重氏は今でこそ悪の権化のように言われていますが、この問題がここまで社会問題化するまでは、同氏を「一代で今日の会社を育て上げた伝説の名経営者」と称賛する提灯記事的な報道もかなりあったのではないでしょうか。そのような記事を書いたライターも、記事を掲載したメディアも今は全く知らぬ顔をしているのですから、世の中とはことほど左様にかなりいい加減なものです(ビッグモーターの顧客はネット利用率が低く、チラシなどの紙媒体やラジオによって情報を入手する中高年層が多いのだそうです)。

 私が銀行の新入行員だった昭和50年代には、「モーレツぶり」を絵に描いたような経営者や上司が確かに多く居たものです。部下たる我々は朝の8時前には出勤し、窓口業務をこなし、シャッターを降ろしてお客様が来られなくなった午後3時からは内部の業務が始まります。営業会議(「資金会議」と言っていました)は毎晩夜の9時頃からで、終電で帰る日も多くありました。労働組合が改善を要求などしようものならば、某支店長は「キミ達が無能だからこんなに遅くまで働くことになるのだ。銀行としてはキミ達に電気代と水道代を請求したい」と言い放ち、資金会議中の夜11時頃にサッと会議室のカーテンを開けて「見ろ、隣の太陽神戸銀行にはまだ灯りがついている。あそこにはまだカネがあるのだ。あの店が潰れるまでやって、やって、やり抜くのだ!」と檄を飛ばしたとか。まるで山崎豊子の小説「華麗なる一族」に出てくる阪神銀行池田支店のような世界が本当に展開されていました。しかしどんなに厳しい上司でも、本当に自分の出世しか考えていない人と、実は心の温かな人との見分けは自然とついていたように記憶します。
 名誉欲や出世欲に取り憑かれて、部下を踏み台にし、お客様をないがしろにする経営者や上司はどこにでもいますが、その暴走を止めるために存在している取締役会や公益通報者保護制度などが機能しなかったことが今回の問題の根底にはあるのでしょう。「結果がすべて」とばかりに組織内のプロセスを無視した意思決定がなされ、構成員が懲罰人事を恐れ、保身を図ってモノを言わなくなり、媚び阿るような者がトップを取り囲むような組織はやがて瓦解します。他人事と思わず、自民党がそうならないように努力しなければなりません。

 今年も夏の高校野球が甲子園で開幕しますが、この異常な酷暑の中、真昼間にドームでもない球場で開催するのはそろそろ考え直すべきではないでしょうか。夏休みだから今の時期なのは仕方ないとしても、ナイターにするとか(延長になると夜遅くなるからダメなのでしょうか?)、エアコンのついたドーム型球場に変更するとか、といった改善ができない理由は一体何なのでしょう?熱中症による事故が起きてからでは遅いと思うのですが、国民にこれほどまでに熱中症対策を呼び掛けているマスコミが、夏の甲子園だけは無条件に礼賛している様にはいつもかなりの違和感を覚えます。

 様々な事件の報道で「○○であることが捜査関係者への取材でわかりました」と言われることが多いのですが、「捜査関係者」はどこまで何を話してよいのでしょう?あの種の報道がある限り取材合戦は過熱するばかりでしょうし、「捜査関係者」の優越的な立場は変わらないのでしょうね。

 昨日夕刻から栄養教諭全国大会が鳥取市であり、帰鳥と上京を繰り返す週末となっております。頻繁に関わることのない政策分野でスピーチをする機会も、勉強になって有り難いものです。関連で調べていたところ、公立学校教員の精神疾患による休職者数は、2021年には5897名となり、1994年(1188名)の5倍になっているのだそうです。また、これと保育所児童数との相関係数は0.9で、直接的な因果関係があるとの仮説が唱えられているそうです。改めて子育て政策が色々な要素を含んでいること、それゆえの難しさを痛感しております。

 相変わらず酷暑の日々が続いています。台風の被害も心配なところです。
 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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石破茂
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