第213回国会閉会など

 石破 茂 です。
 第213回国会(令和6年通常国会)も大きな混乱もなく本日閉会となりました。最初から最後まで主要なテーマが派閥のパーティ券問題に端を発した「政治とカネ」であったこと、会期末に成立した政治資金規正法改正案が多くの国民の理解を得ることも出来ないまま終わったこと、どちらも残念なことでした。
 民主主義にコストがかかるのは事実ですが、選挙区の事務所やスタッフの数に上限を設けるなどの改善はもっとできるはずですし、政党のガバナンス(統治プロセス)を規定する「政党法」の制定に向けて、議論を始め、早急に結論を得るべきです。党の綱領、党内意思決定の組織とプロセス、代表選出方法等々、もちろんその内容は各党によって異なって当然ですが、少なくとも定めるべき事項を明示し、有権者に対して明らかにできるようにしなければなりません。
 本来は、憲法に政党を明確に位置づけ、政党法の憲法上の根拠を定めることが望ましいと考えます。
 平成24年に党議決定された自民党憲法改正草案はその第64条の2において、「国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない」「政党の活動の自由は、保障する」「前二項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める」としているところ、この議論が自民党内で等閑視されているのが残念でなりません。
 「令和の政治改革」は今国会で法律が成立したことをもって、事成れり、なのではありません。政治活動の基本的なルールが揺らいでいると言わざるを得ない状況も出てきています。東京都知事選においてN党が大量の候補者を立候補させ、立候補していない人でも同党に寄付をすれば掲示板にポスターを貼る(内容は自由)スペースを提供する、という選挙法が予想もしていない盲点を突く形のビジネスを展開しているのも、その一例でしょう。専ら選挙妨害のみを目的としたとしか考えられない「つばさの党」の活動も同様です。政党の活動に権力が不当に介入してはならないのは当然ですが、だからと言って何をやってもよいのではありません。何が必要とされ、何を守らければならないか。そもそも論からの議論が必要だと考えます。

 

 東京都知事選挙は過去最多の56人が立候補する異例の事態となりました。都知事選なのですから候補者が「もっと住みやすい東京に」「もっと魅力的な東京に」的な公約を掲げるのは当然ですが、東京への一極集中がもたらしている多くの課題についても語られるべきだと思います。地方からの人口流出が加速し続けることは、東京にとって望ましい姿なのか。立ち止まって考えることも必要なのではないでしょうか。
 その一点において、前安芸高田市長の石丸候補の公約は、人口が急減する日本において東京と地方の共存を目指すリ・バランスを訴えており、注目には値すると思います。
 また、三期目を目指す小池候補が公約の中で「他国からの攻撃に備えたシェルターの整備」「富士山噴火の際の降灰対策」を掲げたことには強く共感しております。

 

 時節柄、と言うべきなのでしょうか、ここのところ一週間に20冊程度の本と30冊程度の雑誌が送られてくるのですが、能力的にもとても全部は読めませんし、ましてや咀嚼して自分の言葉に直すことなどほぼ不可能です。これに加え、二週間に一度は書店で何冊かの本を買い求めるのですが、それすら読み切れず、一種の飽和状態になりつつあります。「せっかく送った本を読んでいないのか」とのお叱りは甘んじて受けねばなりませんが、そのような事情もご賢察頂ければ幸いです。

 

 イタリアでのプールア・サミットにおいて、現在凍結しているロシアの資産を活用してウクライナの支援に充てる枠組みが決定され、今後細部を詰める作業が行われます。おそらくこれは世界で初の試みで、国際法的にも相当精緻な理論を構築しなければならないのでしょうし、ロシアから対抗措置が取られるリスクも勘案しなければなりません。
 サミットでは、恐らく日本から「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」との問題提起がなされたのでしょうし、これはウクライナを台湾に、ロシアを中国に置き換えての議論に違いないのですが、そうであればなおさら、「そもそも何故ロシアに対する抑止力が効かなくなったのか」についての検証をスキップしてはなりません。NATOの集団安全保障と集団的自衛権を(意図的に?)混同したような議論も散見されますが、一見シンプルでわかりやすい議論にも注意が必要です。

 

 昨20日、党本部において自民党鳥獣食肉利活用推進議連(ジビエ議連)、鳥獣捕獲緊急対策議連、自民党鳥獣被害対策特別委員会の共催によるジビエの試食会が開催され、今までにない盛況ぶりでした。「ジビエにしては美味しい」ではなく「ジビエは美味しい」ことを実感したひとときで、ご尽力いただいた日本ジビエ振興協議会の藤木会長(レストラン・エスポワールオーナーシェフ)をはじめとする皆様に、心より厚くお礼申し上げます。

 

 そういえば昨日、議員会館の玄関で中国の最高級車「紅旗」を見かける機会があったのですが、その洗練されたデザインには驚きを禁じ得ませんでした。同車はすでに日本国内でも販売されており、やがては日本車の強力なライバルになるのかもしれません。
 最近の日本車のデザインには「優美さ」が乏しくなっているように感じるのですが、これも時代の流行なのでしょうか。かつてのクラウンツードアハードトップや初代マークⅡハードトップ、日産の初代ローレルハードトップやセドリック4ドアハードトップなどは本当に美しくて、うっとりしていつまでも眺めていたい誘惑にかられたものですが、これも古い世代の郷愁なのかもしれませんね。

 

 東京も遅い梅雨入りとなりました。皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

1718964454963

 

PR
石破茂
PR
石破しげるをフォローする
政治家ブログまとめ