「新しい資本主義実行本部」など

 石破 茂 です。
 自民党の「新しい資本主義実行本部」の初会合が昨日開かれ、今後議論すべき論点についての意見が交わされ、私は以下のような意見を申し述べました。
 第一に、資本主義は人口の増加による消費の増大を大前提としており、現在1年に約50万人、団塊の世代が現世をリタイアする時期には一年に約100万人減少する我が国の人口減少に歯止めをかける施策は不可欠のはずです。人口の減少には出生数の急減が大きく影響しているのですが、提示された論点にはこの明確な記載がないため、これを論点として明示し、解決策を示す必要があるのではないか。
 第二に、資本主義は金利の存在を駆動力とし、借り入れた資金を利子をつけて返済するために勤勉に努力して経済活動を行うのですが、著しい低金利、もしくはゼロ金利が当面は続くという状態においてどのように新しい資本主義を構想するのか。
 第三に、19世紀のドイツの経済学者ゾンバルトがその著作「恋愛と贅沢と資本主義」で論じているように、資本主義は「贅沢(志向)」をその本質としていると伝統的に捉えられていたところ、このような衒示的(顕示的)消費が減少していることをどのように捉えるべきか。
 第四に、医療、食料、教育、エネルギーなどの、そもそも民間の経済活動に必ずしも馴染まない、宇沢弘文氏流に言えば「社会共通資本」とされるものを今後どのように位置付けていくべきなのか。
 これらについて、私自身もよく突き詰めて考えてみたいと思っています。皆様のご知見もお寄せいただければ幸いです。

 今後のアジア・太平洋地域の安全保障のあり方を考えるとき、かつての米ソ冷戦構造と、今の米中関係との比較には意義があるものと思います。
 米ソ間には「資本主義対共産主義」というイデオロギーの対立があり、互いが核ミサイルを多数保有しているという相互確証破壊が成立し、アメリカを中心とする軍事同盟とソ連を中心とする軍事同盟が対峙していました。
 そしてソ連軍はソ連共産党政府が崩壊の兆しを見せた時にも沈黙を守り、経済力という点でソ連はアメリカに遠く及びませんでした。
 しかし、今の米中関係にはそれらのことごとくが欠けているのではないでしょうか。
 これらを前提として考えると、台湾問題であれ、朝鮮半島問題であれ、今までとは全く異なる思考法、異なるアプローチが必要となるはずです。新しい資本主義同様、この課題についても、懊悩・呻吟しながら考えていく他はありません。
 韓国の軍事費は2020年においてドルベースで日本の93%に達し、現政権下では年7~8%の伸びを示しており、近年中に日本を上回ることが予想されています。弾道ミサイルを保有し、ミサイル搭載原潜の保有を視野に入れ、核兵器の保有も白地的に議論される韓国の動向に、日本はもっと関心を持つべきです。
 国家の独立、という意識においても彼我の差は相当に大きいと認識せざるを得ず、我が国の独立と平和を守り抜くためにも、この点について更に真摯な思考が必要だと考えております。故・小室直樹博士や、故・岡崎久彦氏の韓国について論じた著作を読むにつけ、自分の思考の浅さが恥じられてなりません。

 街には賑わいが戻りつつあります。黒木登志夫・元岐阜大学学長は新型コロナウイルスの自滅説を唱えておられ、これを山中伸弥教授が紹介しておられます。今後のためにも貴重な参考となるものと思います。

 今晩は「日経ニュースプラス9」(BSテレ東・21時54分~)に出演、テーマは日本の防衛能力についてです。
 27日土曜日は全国青年交流会シンポジウムにおいて「地方創生と国防」という演題で講演する予定です(山中湖・ホテル清渓)。

 来週はもう12月となるのですね。皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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石破茂
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