□■実のある少子化対策が求められる

□■実のある少子化対策が求められる

 元旦にこの日記を発行しておきながら、新年のご挨拶をしていませんでした。

あらためて、新年、明けましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いいたします。
 新春の岸田総理の年頭会見には、さすがに驚いた。「異次元の少子化対策」という訳のわからんワーディングで、世間をアッと言わせた。決して良い意味ではなく。
さらに、甘利前幹事長は、テレビ番組で財源に消費税を当て込むような話をした、と報道され、より一層、この話の混迷に拍車がかかった。
 いずれにしても、深く水面下で増税ありきの議論が進んでいるから、政府与党は慎重な物言いになり、より、それが、増税圧力を際立たせる結果となっている。
  そもそも日本の少子化対策はこの30年以上、失敗を続けてきた。出生数は政府の想定を遥かに上回るペースで減少を続け、2022年は80万人を下回ったと見られ、過去最少になった。総理は具体策として児童手当の拡充などに言及している。それなのに素早く決まった防衛費倍増とは違って、子ども予算を倍増する議論は遅々として進まない。
 少なくとも、子育て政策もセットで打ち出して増税を示す方が、防衛費増額単独での増税よりも国民の受け止めがソフトになるとの思惑あってのことだろうと思われるが、その姑息さにも呆れてしまう。
 私は、子育て・教育に対してこそ特定の国債を大胆に発行し、財源論に捉われずに支援を行うべきだと考えている。わが国では防衛費は今後GDP比2%、年間11兆円程度となる方向だが、子ども関連予算は近年1%台後半で10兆円にも満たず、フランスやイギリス、ドイツが3%台なのに対し、大幅に見劣りする。これを3%台へと引き上げるため、最低でも年間5兆円は教育国債を発行すべきだ。
 また、特に高等教育に対して親の負担率が非常に高いということも特徴だ。そのうえ増税、上がらない賃金、とマイナス要因が次々と重なり、子育て世帯の家計は傷みに傷んでいる。こうした状況で子どもの教育費用への不安が少子化圧力になっていることは否めない。
 ただ、家族関係政府支出の増額が、単純に少子化対策になってはいないことも、明らかだ。そこはエビデンスに基づいた政策考案を図らねばならない。
 日本は従来、インフラ整備など有形資産に対してのみ国債を発行し、教育など無形のものには国債を出して来なかった。 自民党には、教育費を増税で賄おうとする意見もあるようだが、それではますます子育て世代の負担が増す。
 子育て政策はつじつま合わせの財源論で語るべき分野でない。例えばフランスのサルコジ元大統領は教育などを対象とした「サルコジ国債」を発行した。教育国債の議論には、子孫へツケを先送りするのか、という反論がついて回ることが予想されるが、将来世代への投資ととらえ、教育によって人を育て、将来より多くの人の所得水準が上がれば、国や社会に入るリターン(=税収)などは多くなる。

現実に効果が上がる、少子化対策を打ち出さねばならない。

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