第1063号 少子化は誰のせい?

 年明け4日に岸田総理が表明した「異次元の少子化対策」ですが、自民党の甘利明前幹事長が消費税増税に言及するなど、財源についての議論が噴出しています。やはり、子育て政策もセットで打ち出して増税を示す方が、防衛費増額単独での増税よりも国民の受け止めがソフトになるとの思惑から出たカモフラージュとしての少子化対策だったのでしょう。

◆少子化対策「失敗」の原因
 異次元などという言葉とは裏腹に総理から少子化対策の本気度が感じられないのは、今まで30年以上にわたって失敗してきた政策からの大きな変更が見られないからです。総理の言う児童手当の強化や学童保育の支援、働き方改革などは、それ自体は必要ですが、少子化の改善策としては不十分です。

 というのも、日本ではほとんどの子どもが結婚している夫婦から産まれており、1組の夫婦から産まれる子どもの数は、子育て支援にもかかわらず、ここ数十年大きくは変わっていません。

 一方で、未婚者の数は激増しました。この未婚者の増加が、少子化の直接の原因となっています。未婚者にもライフスタイルへの考えから結婚を選択しない方が増えていることもありますが、経済的理由、将来への不安から結婚を躊躇するという方が増えています。「愛があればお金なんて」という言葉は、単に物語の中の話に過ぎないのです。

 このことで、若者を責めることは出来ません。既婚者世帯が子どもを持った場合の支援を手厚くしようとした一方で、非正規の拡大や賃金の低迷で、若者の未婚者が経済的に厳しい状況を放置してしまったことが、少子化対策最大の失敗だと言えます。

◆やってはいるけれど
 一方、賃金アップの働きかけや男性を含めた育休の推進はちゃんとやっていると政府は言うでしょう。

 しかし、賃金アップに関して、マクロ的な経済政策ではなく、企業の善意に頼るようではたかがその効果は知れていますし、育休取得や働き方改革に関しても、人員に余裕のある公務員や大企業ならさておき、働き手の7割が勤める中小企業において、企業側にインセンティブもなしに推進を呼びかけたとしても絵にかいた餅に過ぎません。

 本当に使える制度となっているかを含めた今までの政策効果の検証及び転換が必要な時期に来ています。

◆子どもを社会で育てる
 少子化対策のためには、結婚を前提とした子どもという固定観念も変えていかなければならないでしょう。そもそも親が結婚していようがいまいが、子どもにとっては関係がなく、嫡出子と非嫡出子の格差があるのはおかしな話です。子どもの6割が結婚していないカップルから産まれるフランスでは、その子に不利益は無いのに対し、日本では「婚外子」という名のように、社会的に不当な扱いを受けることがあります。社会による支援のあり方を含め、われわれの意識を変えなければなりません。

 また、出生率をアップさせた国では、男性の家事参加率が向上している傾向が見られます。一朝一夕にはいきませんが、働き方改革と並行して、家事の分担のあり方も少しずつ変えなければならないでしょう。

 少子化対策でもっとも重要なのは、政策目標、支援のあり方、われわれの意識など、今まで当たり前とされてきた社会全体の仕組みを作り変えて子どもを社会で育てていくことであり、それこそが「異次元の少子化対策」なのです。

 

スタッフ日記「寝正月…?」
 皆さま、新年あけましておめでとうございます!本年も宜しくお願い致します。

 今回、まぶち事務所の一員になってからはじめての年末年始を過ごしましたが、これまでどれだけのんびり出来ていたんだろうと感じる機会になりました。
12月26日・27日の二日間は全員で事務所大掃除をし、28日に仕事納め、そしてそれぞれ年末年始休みという至って一般的な日々を過ごしていました。

さすがに28日ともなると、周囲の方々もお休みモードに入り始めている雰囲気もあり、1日の時間の流れがゆっくりに感じて「あ~、年の瀬が近づいてきたんだなあ」などのんびりしたことを考えていました。

 そんな様相は翌日の夜からガラッと変わって、29日・30日は奈良市西部東部そして山間部と生駒市内で年末警戒活動のため詰めておられる消防団を約70件程度激励挨拶で周り、31日は夜通し寺社仏閣周りを行い、そのまま朝から神社での元旦歳周りを行いました。

家に帰って一息つけたのは1日の朝10時ごろで、「やっとゆっくりできる!」と油断したのも束の間、甥っ子姪っ子や姉夫婦、姉弟のパートナーが実家に集まりはじめ、あれよあれよと大人数でのわいわいガヤガヤしたいつも通りの賑やかな正月を迎えました。

少し落ち着いたので昼寝しようとすると遠くから「ダラダラしてんじゃないわよ!」という声が聞こえ、のんびりテレビを見ようとすると甥姪から「外で遊ぼう!」と体を引きずられ、実家に大勢集まると「いつもの正月だなあ」と感じる一方で、今年は少しで良いから静かな時間が欲しいなと強く願ったそんなお正月でした。(テン)

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