第1071号 電気代と原発

 今年もまた3月11日を迎えました。東日本大震災で犠牲となった皆さまに改めて心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 12年の月日が経ちますが、未だ郷里に帰ることが出来ず、苦しんでおられる方々を思うと、復興はまだまだだと痛感いたします。原発事故発災直後から総理補佐官として原発事故対策責任者として任に当たった私にとっても、復興とエネルギー問題は私のライフワークとも呼べる政策です。

◆電気代が高い
 今、エネルギー問題で最も多くの方を悩ませているのが電気代の高騰です。ウクライナ戦争や世界的なインフレ、円安などの状況が相まって、輸入資源が高騰し、電気代高騰となって生活を直撃しています。日本の発電量のおよそ7割が火力発電に依存している以上、原油や天然ガスの値上がりは電気代を直撃します。

 昨年は約2割電気料金が上昇し、今年から政府の値引き政策が導入されましたが、4月からはさらなる値上げが予定されています。どう電気代の負担を減らすかは緊急の課題です。

◆政府の方針転換
 電気代が高騰する中、政府は原発政策の大きな方針転換を閣議決定しました。老朽化した原発をも動かすことなどで、原発を最大限活用していこうとするもので、電気代が下がるという期待が大きいためか、世論調査でも原発再稼働を容認する意見が多くなってきています。

 私は民主党政権時、原発依存を限りなく低減するという政策を当時のエネルギー環境調査会長として支えてきました。従って、このエネルギーひっ迫と電気代高騰の中で、短期的には、安全が確認できた原発は速やかに再稼働することも容認する立場でもあります。

 しかし、今回の政府の政策転換は老朽化した原発も含めて運転延長を認めて再稼働を行い長期的に原発メインに回帰しようとするものです。これほどの国家エネルギー戦略の転換が閣議決定のみで行われたことに対しては、大いに問題があると考えます。

 過去、私が幾度となく国会質疑で指摘したように、政府のエネルギー戦略は一定の原発比率を維持しようとする一方で、世論を恐れて原発の新増設は行わないと語り、また再生可能エネルギーの最大限の導入には消極的など、矛盾だらけでした。

 こうした中途半端かつ戦略的洞察のないエネルギー政策の失敗が今の状況を招いてしまったのです。そして今回、電気代高騰を機にここぞとばかりに新増設含め一気に原発依存に戻そうとするのは、国会軽視も甚だしいものです。

◆現実的なエネルギー戦略
 これからのエネルギー戦略を考える上では、コストと安全、自給率の3点を厳密に検証して進めていかなければなりません。

 新しく原発を作り維持していくコストは、風力など再生可能エネルギーの3倍に上るとの試算があります。

 昨今話題のミサイル防衛でも、原発が狙われた場合の安全性については未知数です。南海トラフ巨大地震も迫りつつあるとされています。やはり、長期的にはコスト、安全の両面から原発に過度に依存しないエネルギー構成を目指さなければなりません。

 短期的には再稼働で当座をしのぎつつも、長期的には風力や地熱など、安全で完全に国内生産できる再生可能エネルギーを積極的に導入し、エネルギー自給率を高めていくことが必要です。

 民主党政権時のエネ環戦略は以下の三本柱であり、今も維持すべきものと考えます。

 原発に依存しない社会の早期実現、グリーンエネルギーによる新たな成長分野の創出及びグリーンエネルギー拡大のための社会システムの規制改革を含む変革、コストへの配慮もしたエネルギーの安定供給。

 この原点に立ち返って、エネルギー政策を進めて参りたいと思います。

 

スタッフ日記「春のつどいin東京を終えて」

 東京での春のつどい終了後の慰労会で、馬淵さんがふと「俺は相当変わっている」と口にしたのが印象的でした。

 私は、馬淵さんが初めて代表選に挑んだ2011年に出会いました。学生時代より「自民党の政治文化」で学び育った私にとって、馬淵さんは初めてお会いした「民主党(当時)の政治家」であり、その時に受けた「『まともな日本人の代表』みたいな人」という第一印象は今でも鮮明に覚えています。

 そして今でも、私にとって馬淵さんは「まともな日本人の代表」です。

 礼節を重んじ何事にも寛容、叱りの中ですら温かさが滲み出、引き受けたものは守り通す。一言で言えば、信頼と安心感。

 なので、冒頭のお言葉。自分なりにこう解釈しました。日本が、日本人が、今失いつつあるものを、「永田町」という特殊な環境に20年も身を置いてもなお失うことなく体現し続けている「=相当変わっている」。

 しかし、それを活かすも殺すも、国民次第。

 春の集いで乾杯の音頭を取ってくださった方は、筋トレ好きな馬淵さんの「ターミネーター」というあだ名の語源から、その使命を「今の政治をterminate(終わらせ、断ち切る)」とおっしゃられました。

 とは言え、リーダーは孤独。弱音もたまに吐くけれども、嬉しいことがあると目に見えてエネルギーが倍増する。そんな、ある意味単純で人間らしい馬淵さんに、勝負の春到来に合わせて温かい風を吹かせましょう!(アコタンク)

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