第1091号 水害からの復旧支援

 近畿を直撃した台風7号により、奈良県内にも大きな爪痕を残しました。「100年に一度」と表現される豪雨被害が、毎年のように全国各地で起きているいま、水害に対する防災や復旧支援についてこれまでのあり方を見直していくことが必要です。

◆1か月で1%以下
 防災に関しては、従来対策がなされてきた治水工事だけではなく、ゲリラ豪雨などに対応した避難体制の充実などにも力を入れるべきことは、私も国土交通委員会等で指摘してきました。

 そして、防災と対になるのが復旧支援で、その際最も大切なのは支援のスピードです。被害を受けた個々の住民の暮らしを迅速に救済してこそ、地域の再建も可能になります。

 しかし、今の行政による支援システムは、従来からのいわゆる「お役所仕事」的な発想で進められており、そうした体制とは程遠い状態です。

 例えば、水害により住宅が浸水被害を受けた場合、自治体の支援で応急修理を受けたり、生活再建支援金を受け取ったりできますが、そのために必要な「罹災証明書」を発行するには被災者が自分で面倒な必要書類を作成し、印鑑を用意して、被害を受けた家屋の写真などを添えて申請しなければなりません。

 家屋が浸水して精神的ダメージも大きい中で、これは大変な負担で、あまりに酷です。しかも証明書はすぐに発行されるものではありません。証明書の交付申請を受けて、自治体が家屋の被害認定調査を行い審査するので、さらに日にちがかかります。

 実際7月中旬の豪雨で大きな被害が出た秋田市では、約6700件もの申請に対し、8月10日の時点で罹災証明書が発行されたのはわずか50件にとどまっています。1か月で1%未満、これでは被災者の迅速な生活再建は不可能です。

◆申請を待つから遅くなる
 今年3月に閣議決定された、住民税非課税世帯を対象とした3万円給付は、奈良市ではようやく7月20日以降に対象者への確認書の郵送が始まりました。半年経って本格的な手続きはこれからという大変なスローペースです。

 このように対象者自身による申請や、役所の確認が間に挟まると、どうしても手続きに時間がかかってしまいます。しかし、こんなことでは、大規模災害にはとても迅速に対処できません。

 例えば河川の氾濫による水害は、1軒だけが被災するということはまずありません。こうした被害が広域に及ぶ災害の場合には、個々の申請を待たず、行政が把握しているエリアごとの被害状況を元に先行支援を行えば、より早く被災者を助けることができます。マイナンバーも、カード化で保険証廃止を強引に進めることなどではなく、迅速な個人被害の把握や支援のため活用すれば良いのです。

◆激甚災害指定も柔軟に
 また、国が激甚災害に指定すると、地方自治体の行う災害復旧事業への補助が上増しされたり、被害を受けた中小企業に対する支援など特別の助成がされますが、広域の大規模災害への指定がメインで、ゲリラ豪雨のようなピンポイントの被害は対象外です。今後は局地的災害への指定を積極的に進めるなど、災害の変化に合わせた個々の住民救済のための柔軟な運用が必要です。

 豪雨のみならず、地震や火災といった予期できぬ災害は、必ずやってきます。「喉元過ぎれば」の場当たり的対処ではない、被災者目線で何が必要かを汲み取った復旧支援へと変えていかなければなりません。

 

スタッフ日記「まだまだ暑い日々」

 4年前日本中を熱狂させたラグビーワールドカップが、9月8日からフランスで開幕します。

 日本代表は、9月10日の初戦チリとの試合から始まり、その後イングランド・サモア・アルゼンチンと強敵との対戦が続きます。そんなラグビー日本代表の我が家の注目選手を紹介します。

 まず、1人目はキャプテンの姫野和樹選手です。2015年、2019年大会はニュージーランド出身のリーチマイケル選手がキャプテンでした。日本出身のキャプテンとしては2011年大会の菊谷崇(キクタニタカシ)以来となります。2019年大会では、倒れた相手のボールを奪いにいく「ジャッカル」という彼のプレーが話題になりましたね。

 2人目は、長田智樹(オサダトモキ)選手。今シーズンがプロ一年目の23歳。新人選手ながらトライを重ねて新人賞を獲得。4年前にトライを量産して日本のヒーローとなった福岡堅樹を思い起こさせるトライゲッターです。

 3人目は、フォワードの福井翔大(フクイショウタ)選手。長田選手と同じ23歳ですが、東福岡高校卒業後、すぐにプロ選手となり、地道に努力を重ねて日本代表に登りつめた選手です。ラグビーの世界では大学へ進学し、大学ラグビーを経てからプロの世界へと進む選手が多い中、高卒でプロとなった期待の星です。

 半分近くが海外出身選手の活躍するラグビー日本代表ですが、日本出身の若い選手の活躍が、4年後8年後のワールドカップにもつながっていくはずです。

日本代表の活躍を期待しています。暦のうえでは秋となりましたが、我が家ではまだまだ暑い、いえ熱い日々が続きそうです。(まあちゃん)

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