第1138号 子どもたちの学びを守る

 いよいよ梅雨が明け、学校も夏休みに入りました。

◆短くなる夏休み
 私の世代では、学校の夏休みと言えば7月20日前後から8月いっぱいまでで、秋の気配が感じられる9月から2学期が始まるのが通常でした。しかし、今では9月に入っても猛暑が続くのと裏腹に、夏休みは短縮傾向で、奈良市でも今年は8月26日には2学期の始業式を迎えます。
 保護者の中にも、夏休みの短縮を希望する声があります。NPO法人「キッズドア」がシングルマザーなどの困窮子育て世帯に対して行った調査では、約6割が夏休みの廃止や短縮を求めているということです。

 生活が厳しい家庭にとって、子どもが家にいることによる光熱費や、給食が無いことによる食費などが負担となってのしかかりますし、共働き家庭やシングルで働きながら子育てをしている家庭では、夏休み中の子どもの世話もままならないため、結局は学校にいてくれた方が良いということなのかもしれません。

 さらに猛暑や、夏の地域行事が少なくなっていること、受験競争の過熱化等から、子どもが生き生きと遊びまわって様々なことを体験する機会であった夏休みも、すっかり様変わりしている印象です。一言で言えば子どもたちから余裕が無くなってきていると感じます。

◆3Kの教育現場
 夏休みの体験だけではなく、今は、昭和の時代と異なり、何より教育現場から余裕が失われてきています。

 小学校の英語教育必修化や、大学入試共通テストでの「情報」科目の導入など、勉強の内容が次々増加しているのに加え、報告書類や手続きばかりが増え、教職員は疲労困憊状態です。休日ともなると、ボランティアで学校の部活指導にあたるなど、自分の時間さえ取れない教師が数多く存在します。

 また、「定額働かせ放題」と言われる教職員給与特別措置法(給特法)も、抜本的な見直しは見送られるばかりで、一向に教職員の待遇改善は進んでいません。

 このような労働環境で、学校の教育現場は、「キツイ」「汚い」「危険」という3Kの現場とも例えられています。このことは、教師を目指す若い世代の減少に直結しており、教員採用倍率は右肩下がりで、過去最低を更新しています。子どもを育てるための教員の確保すらままならない未来がすぐそこまで迫っているのです。

◆子育て支援は学校へも
 子育て支援というと、家計への経済的支援ばかりが注目されます。現に、社会保険料負担の増額を財源とした「子ども・子育て支援金」制度も始まりますが、子育て支援は家庭だけではなく、学校という存在にも着目しなければなりません。

 学校の教員や職員もひとりの労働者であり、過度にボランティア精神による活動を強要することは許されません。

 教職員数を増やして、ひとりあたりの負担を軽減することに加え、学校業務の効率化を徹底し、無駄な報告を減少させることも必要です。

 たとえば部活は地域のボランティアの方に指導を委ねれば、地域と学校との関係を強化にもつながります。

 また学校内外で発生するトラブルや業務効率化には、法律や経営の専門家を登用して改革を図るべきです。

 現在の教員は子どもの学習や生活面だけでなく、こうした業務も一手に引き受けており、学校はいわば「閉ざされた世界」になってしまっています。

 教員に全ての責任を負わせるのではなく、一人の労働者として働きやすい環境を整備することが、結果的に学校教育の底上げにつながり、子育て支援にもつながっていくと思います。

 

スタッフ日記「オオサンショウウオ」
 オオサンショウウオをご存じでしょうか?日本の清流に棲み、4本足で動き回り、体長1メートル以上にも達することがある、さながら怪獣映画に出てきそうな姿かたちの動物で、特別天然記念物に指定されています。

 この前、現在でも一定数の個体が生息している岡山県北部の資料館で、水槽で飼われているオオサンショウウオを見てきましたが、これが夜な夜な川の底をはいずり回っている姿を想像すると、かなりの迫力だろうなと感じました。

 ところでこのオオサンショウウオ、中国から持ち込まれたと見られる外来種の個体との交配が進み、純粋な日本産は絶滅の危機にあるようです。

 最近まで生息して絶滅した日本固有の動物の代表としてはニホンオオカミとニホンカワウソが挙げられます。

 ニホンオオカミが最後に捕らえられたのは1905年、場所は東吉野村の鷲家口であることははっきりしており、今、現地にはニホンオオカミ終焉の地として、天に向かって咆哮するオオカミの銅像が立っています。

 カワウソは動物園でよく見るけど?と思われる方もいるでしょうが、それは海外から来たカワウソで、ニホンカワウソは1979年に高知県で目撃・撮影されたのを最後に忽然と姿を消し、2012年に絶滅指定されてしまいました。

 このままではオオサンショウウオがオオカミやカワウソと同じ道を辿ってしまうのではないかと心配です。グローバル化が叫ばれる現在ですが、地域の片隅に細々と生息する動物たちが、これ以上固有の棲み処を失わないことを願うばかりです。(アタリ)

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