第887号 中高年ひきこもり問題

 ひきこもりがちだったと見られる方が当事者となる事件が続発しています。偏見に基づいて安易にひきこもりと事件を結びつけるべきではありませんが、一方で、誰にでも起こり得る社会問題として、ひきこもりを直視し、支援に取り組む必要があります。

◆無視されてきた中高年ひきこもり
 ひきこもりはあらゆる年齢層に存在します。ところが、政府は今までひきこもりを若年層の失業者と捉え、中高年層のひきこもりの実態調査を怠り、自治体ともども、就労支援を39歳までに限定する例が多く見られました。

 今年3月に、ようやく内閣府による初めての調査が発表され、40歳から64歳までのひきこもりは61.3万人に達すると見積もられ、15歳から39歳までの数54.1万人を上回る事実が明らかになりました。また、そのうち、ひきこもり期間が5年以上にわたる人は過半数の51.0%を占め、30年以上という人も6.4%に上っています。

 ひきこもりの中で特に支援が必要なのが、こうした長期にわたって社会と接点を持てずにいる中高年層なのです。

◆誰にでも起こり得るひきこもり
 ひきこもり原因の上位を占めるのが、「退職したこと」、「人間関係がうまくいかなかったこと」、「病気」などです。中高年の退職理由は、不況によるリストラや、たまたま就職氷河期時代に就職の時期が重なったため正社員になれず、不安定な非正規として働かざるを得なかったことなどが考えられます。また、病気もやむを得ない事情です。

 このように、ひきこもりは誰にでも起こり得る問題であり、単に「自己責任」や、「甘え」という冷たい言葉で非難するべきではありません。政治も、ひきこもり問題に対して、今まであまりに冷淡だったと思います。
イギリスでは、孤独問題担当の大臣まで置かれています。日本も、ひきこもりによる孤独や社会との隔絶に対して、真正面から向きあい、解決に取り組まなければなりません。

◆自立を促す支援とは
 政府はようやく、ひきこもりなどの対策として、いわゆる就職氷河期世代の30~40代を対象にして、3年で30万人の正規雇用を確保する目標を打ち出しました。しかし、ひきこもる人を単なる失業者として捉えるのならば根本的な解決にはなりません。

 長い間社会から離れていた人には、就労への順応期間が必要な方も多くいます。単に職をあっせんするだけでは、職場に慣れずにすぐに離職という結果に終わりかねません。この点、例えば大阪府豊中市では、市の委託を受けた社会福祉協議会が、まずは簡単な仕事をあっせんして働くことに慣れてもらう中間的就労を行っています。国も、こうした自治体の工夫を積極的に取り入れるべきです。

 また、ひきこもる人の中には、支援を求める相談自体がうまく出来ない人もいます。ケースワーカーの支援活動なども、いきなり本人との対面を求めるのではなく、SNSやメールを通じた対話から始めるなど、柔軟性を高めるべきです。精神状態に配慮したきめ細やかな、そして着実に自立を促す支援こそが、ひきこもる人への支援の本質だと思います。

 

スタッフ日記「50回目の結婚記念日」

 先日、主人の両親が結婚50年を迎えました。主人の妹弟とその家族が集まり、ささやかですが金婚式のお祝いをしました。

 50年といえば半世紀です。二人が積み重ねてきた年月は尊く、その間にはいろいろなことがあったと思いますが、お互いが一緒にいるための努力を怠らなかったからこそ、この日を迎えることができたと思います。皆で一緒にお祝いできたことを嬉しく思いました。

 結婚記念日を祝う風習はイギリスが発祥で、日本へ伝わったのは明治の頃だといわれています。もともと家同士のつながりを重んじる文化があった日本では、夫婦二人の記念日が祝われることはありませんでした。

 しかし、1894年(明治27年)当時の天皇皇后両陛下が「大婚二十五年祝典」として銀婚式を盛大に祝ったことをきっかけに民衆の間でも結婚記念日を祝う風習が一般的になりました。当時有名になったのは銀婚式でしたが、銀婚式の倍である50年目の金婚式も人生の節目のお祝いとして銀婚式とともに広まっていったようです。

 日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.26歳(平成29年簡易生命表)です。しかし、晩婚化が進んでいること、結婚をしない人が増えていることを考えると、金婚式を迎えられるご夫婦は今後少なくなってくることが予想されます。私も両親のように主人と時間を積み重ねていけたらいいなと思います。

 でも私達の金婚式までは、あと30年・・・2人揃ってその日を迎えることはできるかな。まだまだ先は長いです。(まあちゃん)

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馬淵澄夫
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