石破とトランプはプロテスタントのつながり

 かつて、アメリカはWASPの国だと言われた。WASPとはWhite(白人)、Anglo-Saxon(アングロ・サクソン)、Protestant(プロテスタント)の頭文字である。建国以来、アメリカを支配してきた集団である。 第二次世界大戦後は、人種的にも宗教的にも多様性が増し、もはやWASPという表現が使われることはなくなった。黒人のオバマ大統領が誕生し、ケネディ大統領もバイデン大統領もカトリック教徒である。 しかし、宗教的にはプロテスタントが最大宗派である状況は続いている。2020年の統計によると、プロテスタントが42%、カトリックが21%、無宗教が18%、モルモン教が2%、ユダヤ教が1%、イスラム教が1%、ヒンドゥー教が1%、仏教が1%、正教会が0.5%である。キリスト教が約8割であり、建国の経緯からもアメリカは「キリスト教の国」である。なかでも、プロテスタントが主流である。プロテスタントの一宗派であるキリスト教福音派はアメリカ国民の4分の1を占めるアメリカ最大の宗教勢力である。トランプは、大統領在任中に連邦最高裁に3人の保守派判事を送り込んだ。その結果、保守派判事が過半数を占め、2022年6月、妊娠中絶を憲法上の権利と認めた判決(ロウ対ウェード判決)を49年ぶりに覆した。トランプは、これは保守派の判事を任命した自分の業績だと、福音派にアピールした。また、ゴラン高原のイスラエル支配を認め、米大使館をエルサレムに移したことは、イスラエルのみならず続きをみる

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