我孫子市選出・千葉県議会議員の水野ゆうきです。
今朝は総武線が大幅遅延により、電車通勤組は大変でした💦
本日も千葉県議会は議員の一般質問が続きます。
さて、本日のブログでは会派の代表質問で取り上げた『選挙の課題と対策』についてお伝えしていきます。
これまでの選挙の投票率や投票環境の改善、高校生の主権者教育を取り上げながら現状の改善に向けて取り組む必要性を訴えました。
【背景】
今年3月16日投開票の千葉県知事選挙の投票率は31.93%で、前回4年前の選挙より7.06ポイント低くなりました。
日本の選挙の投票率は年々低下しており、昨年10月の衆院選小選挙区の投票率は53.85%と戦後3番目の低さでした。特に我が国では、若い世代の投票率が低い傾向にあります。我々の2023年に執行された千葉県議会議員選挙においても35.99%と前回よりも下回り、政治への無関心や議員のなり手不足が深刻化しています。
また、2015年に選挙権年齢を満18 歳に引き下げる公職選挙法改正が成立し、高校に選挙権を有する生徒が在籍することになることから主権者としての素養を高める教育として主権者教育の重要性が指摘され、様々な取り組みも始まっているにも関わらず若い世代の投票率は低下の一途をたどっているというのが現状です。
≪投票率の状況≫
水野質問:先般、投開票のあった千葉県知事選挙において年代別の投票率はどのようになっているのか。
選挙に向けた啓発として、どのような取組を行い、その取組をどのように評価しているのか。
選挙管理委員会答弁:年代別の投票率は20歳代が20.14% と最も低く、70歳代が45.22%と最も高くなっており、全国と同様、若い世代の投票率が低い傾向にある。
県選挙管理委員会では、一人でも多くの方に投票に行ってもらえるよう選挙啓発HPの作成、WEB広告の実施、商業施設での啓発など様々な啓発活動を行ったが、結果として投票率が前回に比して上昇しなかったことから更なる工夫が必要だと認識している。
なお選挙啓発ホームページでは投票の呼びかけ以外にSNS上での選挙に関する 情報の取扱いや投票日当日の発信内容の制限 など有権者に注意してもらいたい点について周知したところ、閲覧件数は約19万5千件にのぼり、一定の効果があった。
≪投票所の環境整備向上≫
水野質問:我が会派はこれまで障がいのある方が投票しやすい環境の整備や市町村によっては投票時間の繰り上げがあることなどから選挙人の不利益に繋がらないよう要望してきた。
今回の千葉県知事選挙では、投票環境の向上に向けて市町村において新たにどのような取組があったのか。
選挙管理委員会答弁:今回の知事選挙では、新たに船橋市の 高野台地区において移動手段を持たない選挙人に向け、バスによる期日前投票所への移動支援を行ったほか、松戸市のほか10市町では障害のある選挙人と円滑な意思疎通を図るため投票所にコミュニケーションボードを設置するなど、誰もが投票しやすい環境 づくりに取り組んだ。
引き続き市町村選挙管理委員会と連携し、投票環境の向上に 努めていく。
≪高校生の主権者教育≫
OECD諸国では、若い世代の方が投票率が高い国も少なくない中で、日本の低さは際立っており、若い世代の投票率の低さや政治不信・無関心を招いている責任は我々にもあることを認識すべきだと痛感しています。
民主主義を機能させるための主権者教育の重要性はますます増しており、今後の日本の未来を担う若者に主権者としての意思を示す最大の政治行動である投票について理解を深めてもらい、政治に対する意識を高めていく取り組みを進めるべきです。
水野質問:県教育委員会では、高校生の主権者教育にどのように取り組んでいくのか。
教育長答弁:
〇若い世代の政治に対する関心を高め、社会への参画意識を培うためには児童生徒の成長段階に応じて体系的に主権者教育を行うことが重要であると認識している。
〇県立高校においては公民科の「公共」などで主権者教育を行っており、例えば各党の政策を比較し、授業内で発表・協議するなどの取組を行い、すべての生徒が2年生までに履修することで18歳になった生徒が有権者として選挙の意義を理解できるようにしている。
〇実践的な経験もできるよう各高校において、県や市町村の選挙管理委員会等と連携した出前授業や模擬選挙を実施するなど、県教育委員会として主権者教育の一層の充実に努めていく。
水野要望:県立高校における模擬選挙は令和4年度の実績で 36.4%にとどまっている。18歳を迎える前に全校が実施できるように進めていただきたい。
若い世代の政治参画を促し、 良質な民主主義を醸成していく ために主権者教育を使命と捉え、行政と議会が一丸となっ て取組を進めていきたい。
※千葉県議会では「ちば高校生県議会」を実施します。
今回の質問にあたっては相当数の資料を読み込んだのですが、その中でも大変勉強になったのがこちらの書籍です。
『子ども若者抑圧社会・日本社会を変える民主主義とは何か』
室橋 祐貴 (著) (光文社新書) 新書
すべての政治家が読むべき1冊だと思います。
日本の若者が政治に関心を持たない、持てないような教育、制度などを他国の事例と比較しながら分析されています。
日本は投票することができる選挙権年齢がようやく満18歳に引き下がりましたが、出馬することができる被選挙権年齢も欧州のほとんどの国が18歳に設定されており、20歳前後で政治家に当選する人も珍しくありません。アメリカのアーカンソー州では18歳の市長も誕生しています。
また教育も全く異なります。
スウェーデンやデンマークなど北欧諸国の投票率は9割近くに達し、若者の投票率も8割を超えます。
今回の答弁で出てきた千葉県知事選の20代の投票率20歳代20.14%とは比較にならない高さです。
なぜ若者が投票に行くかといえば
「自分の1票で社会を変えられるから」
と答えるとのこと。
ヨーロッパでは徹底した民主主義教育が行われているのです。私も小学校・中学校時代の半分は米国現地校で過ごしているのでよくわかりますが、とにかく「話し合う」ことを大切にしています。
小学校から学校内だけでなく行政に対しても働きかけを行う。
ミュンヘンといえば「ミニ・ミュンヘン」が有名ですが、ミュンヘン市では専門職として市の様々な施策において子どもの参画を促す役割を担う子ども参画専門員が存在し、数多くの子どもたちがまちづくりについて参画できる環境が整備されています。
このように子どもたちが実際に政治参画することで、自分のチカラで変えていくことができる体験ができるわけです。
一方で日本は「模擬」。
実はこの「模擬参加」は危険という指摘もあります。
なぜなら声を上げてもなにも変わらず、意味がなかったという感覚に陥るからとのことです。
また、日本では民主主義ということは多数決で決めることと勘違いが蔓延していることも著者は指摘しています。
民主主義とは「話し合い」であり、多数決は最終手段です。
多数決は「多数者の専制」に陥り、少数意見が反映されにくくなります。
つまり、投票率の高い世代向けばかりの政策を訴える政治家が増え、若者やこれから産まれてくる子どもたちのことはそっちのけの短絡的な政策ばかりが生まれやすくなるとのこと。
子どもの権利が尊重され、自己決定権が大事にされる文化を目指すべきであり、一部の権力ある大人が自分たちの都合の良いように抑圧している社会を改善していくには自分たちが声をあげることです。
そして声をあげることの大切さを我々が後押しすることだと思います。
会派『千葉新政策議員団』代表質問⑤選挙の課題と対策~若い世代の低投票率~
