福島県で行われている甲状腺検査(がん検査)の「過剰診断」問題。弊害が大きく、早急な見直し・終了を

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

今日のブログでは先の「資源エネルギー調査会」で取り上げた、福島県の「甲状腺検査」過剰診断問題について解説したいと思います。

質問の全容は、ぜひこちらの動画で御覧くださいませ。

なぜこの問題を「資源エネルギー調査会」で取り上げるかと申しますと、これは原発・放射線に対する風評被害とも密接に関係することから、原子力・エネルギー行政を考える上で避けて通れないテーマだからです。

この県民健康調査は、福島県が主体として実施し、国・環境省が支援している事業です。

県民健康調査について(福島県HP)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/ps-kenkocyosa-gaiyo.html

その調査の一項目に18歳以下の子供たち向けで甲状腺検査があるわけですが、これが過剰検査、そして過剰診断ではないかということが多数の専門家から指摘されています。

甲状腺ガンの「過剰診断」とは、成長を止めてほとんどが一生気づかれない、見つけなくてもよかったガンを見つけてしまうことを言います。

このことにより、本来必要なかった手術を受けることになり、若いうちから「ガン患者」と区分されることで様々な不利益を被ることにつながります。

そのため主流学術団体・国際機関はこうした過剰診断の問題を指摘したうえで、福島において検査をこれ以上行うことについて「非推奨」という見解を繰り返し示されています。

原発由来の甲状腺ガンが認められるのであればまだしも、原発事故由来の放射線被ばくと県民調査で判明した甲状腺ガン罹患について因果関係は認められないということが、今回の答弁でも確認されました。

そして因果関係がないという一定の結論が出た以上、甲状腺検査をこれ以上続ける科学的根拠はなく、「県民の不安に寄り添うため」という以上の理由はありません。

このまま県の計画どおり35歳まで検査を続けると、1,500例程度が(過剰に、不必要に)発見され、そのほとんどが過剰診断の「被害」になると学会では報告されています。

今回の質疑を通じて、環境省は「過剰診断」のデメリットを認め、情報発信に努めていると主張しています。しかしながら、それだけでは対応は不十分です。

実際に現在、福島県でどのような検査が行われているかについて、学校の授業中に半ば強制的に検査されている、甲状腺ガンとはどういうものなのか、進行しないガンもあることなどは説明されていないという意見も様々なところから上がっています。

たしかに、検査を続けることによって一部の方は安心するかもしれません、

しかし繰り返しになりますが、その結果として必要がなかったのに社会的に「ガン患者」となって犠牲になる人が出るのが、過剰診断の一つの大きな問題です。

10代で「ガン患者」になると、その後の進学、就職、結婚、出産など、ライフステージのあらゆるタイミングで差別的扱い受ける可能性が高まります。

例えば、主要な生命保険にも入れず、場合によってはローンを組めず、家も買えないということになります。

日常では恒常的に経過観察や通院が必要となる場合がありますし、手術すれば一生体調不良が続き、服薬をしなくてはならないケースも発生します。

こうした過剰診断の弊害に加えて、福島県全体の風評被害のことも考えなくてはなりません。

不必要な検査や過剰診断が続くことによって、いまだに福島県では放射線被ばくがあるのではないかというような誤解や悪いイメージを持たれる可能性があるからです。

すなわち、本来見つける必要のないガンを県民調査で見つけることによって、福島では一時的に甲状腺ガン罹患者が増えた数字が出る。そのデータをもって

「福島は危険である」
「原発由来の放射線による甲状腺ガンがある」

といった間違った認識を生み出す可能性がありますし、実際に残念ながら、脱原発を極端に推進する団体・活動家などがそうした恣意的な情報発信を行うケースが散見されます。

これは観光産業や農林水産業を中心に、福島に対して大きなダメージを与える一因になりかねません。

長くなったのでまとめますと、原発事故と甲状腺ガン罹患について因果関係はありません。

そして強制検査による過剰診断という状況が現に発生しています。さらに、甲状腺検査を続けるがゆえに地域の不安ひいては風評被害につながっているのではないかという懸念もあります。

もはや、福島県の健康調査における甲状腺検査を「やめる」決断をするべきではないかと言わざるを得ません。

こうした指摘に対して、環境省はあくまで福島県の事業であることを主な理由に玉虫色の回答に終始しましたが、担当者レベルと意見交換をすると、その弊害の大きさは十分に認識されているように感じます。

本件については、ずっとこの問題に取り組んできた有識者の方々からも早速リアクションをいただき、ありがたい限りです。

福島県の事業とはいえ、国が支援をしている以上、当然に責任と大きな影響力があります。来年は事故発生から10年という節目でもあり、こうした誤った施策を見直す一つの機会です。

本件は引き続き、ぜひ小泉進次郎環境大臣との議論をし、見直しという決断をしていただきたく、引き続き国会で積極的に取り上げて参ります。

それでは、また明日。

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おときた駿
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