こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
現在、新型コロナ対策で注目を集める専門家会議の議事録が「作成されていない」ことが報じられ、にわかに激しい議論が起こっています。
コロナ専門家会議、議事録作らず
https://this.kiji.is/638685726224139361?c=113147194022725109私はもちろん「情報公開」を何より重要視する立場から、議事録を作成しないという政府のスタンスは論外だと思っています。
「議事要旨は公開されているじゃないか」
という反論もありますが、発表されている議事概要では外部から何ら検証できるレベルではありませんし、それこそこの歴史的有事を後世の方々が振り返る時にも不十分な資料と言わざるを得ないでしょう。
参考:
新型コロナウイルス感染症対策 専門家会議(第1回)議事概要
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/gaiyou_r020216.pdfでは、どうしてこのような対応がまかり通ってしまうのか。
深堀りして考えてみると、そもそも政府が策定している「行政文書の管理に関するガイドライン」に問題があります。
(内閣府HP「歴史的緊急事態について」より)こちらの発表にある通り、今回の新型コロナウイルス対応は「歴史的緊急事態」と認定され、記録を残すことが宣言されています。
しかしながら歴史的緊急事態であっても、なんと「政策の決定又は了解を行わない会議等」については議事録作成義務がないというガイドラインになっています。
①政策の決定又は了解を行う会議等
国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態に政府全体として対応するため、政策の決定又は了解を行う会議等
(作成すべき記録)
開催日時、開催場所、出席者、議題、発言者及び発言内容を記載した議事の記録、決定又は了解を記録した文書、配布資料 等② 政策の決定又は了解を行わない会議等
国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれが ある緊急事態に関する各行政機関の対応を円滑に行うため、政府全体として情報交換を行う会議等であり、政策の決定又は了解を行わないもの
(作成すべき記録)
活動期間、活動場所、チームの構成員、その時々の活動の進捗状況や確認事項(共有された確認事項、確認事項に対して構成員等が具体的に採った対応等)を記載した文書、配布資料 等このように「発言者及び発言内容を記載した議事の記録」いわゆる議事録が必要なのは政策決定が行われる会議だけであって、あくまでアドバイスをするだけということになっている専門家会議については「議事要旨・概要のみでOK」という仕切りになっているわけですね。
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しかし、このガイドラインにそもそも問題があると私は考えます。
「政治家ではない専門家に批判が向かってしまう恐れがある」
「すべて公開されてしまったら、忌憚のない意見が言えない」という指摘もあり、その一部については理解をするところでありますが、議事録を「作成しない」と「公表しない」では天地の差があります。
上記のような懸念から議事録を即時公開できないとしても、作成して保存だけはしておかなければ、それこそ「歴史的緊急事態」にもかかわらず後世に十分な経過が伝わらないことになります。
特に、「専門家会議におけるどのような意見・議論が、総理の決定にどれくらい影響を与えたか(あるいは与えなかったか)」は決定的に重要であり、それを記録しないで良いというガイドラインは致命的です。
この内閣府による行政文書のガイドラインは早急に
・政策決定をしない会議であっても、議事録の「作成」は義務付ける
・外部からの批判などに懸念がある場合、「公表」するのは一定期間後にするという内容に改めるべきです。公表するのを5年後や10年後などに設定すれば、前述の懸念は相当程度に払拭しながら、歴史的検証に耐える記録を残すことが両立できます。
加えて、そもそも大阪府では専門家会議で喧々諤々に議論している様子を議事録どころか動画中継まで公開しています。
私はこちらの方があるべき姿だと思いますし、「非公開でないとざっくばらんに発言できない」という考え方・姿勢事態を、政治行政が改める時代が来ているのではないでしょうか。
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どれだけ公文書の保存が義務付けられたとしても、最初から「作成していない」記録は残せないわけですから、入口である保存ルール・ガイドラインこそ最重要です。
そもそも専門家会議も「議事概要」を作成しているのだから、そのために音声データなどは必ず撮っているわけで、その保存については今からでもきちんと指示をしておくべきだと思います。
本件も含めて公文書管理・情報公開の徹底については、引き続き国会から強く改善を求めて参ります。
それでは、また明日。