こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
すでに多くの有識者から指摘が入っている件でありますが、「表現の自由」に重きを置く政治家の一人として、「松戸市ご当地VTuber」を巡る一連の全国フェミニスト議員連盟の不誠実な対応について意見を申し上げたいと思います。
事の経緯は上記の署名ページに詳しいところですが、松戸市ご当地VTuberを採用した千葉県警の事故防止啓発動画に対して、全国フェミニスト議員連盟なる団体が
「女性を性的対象とするようなキャラクターが登場している」
という主観に基づく理由により、動画の使用中止・削除を強く求めて申し入れを行いました。
結果、松戸市を盛り上げようと努力してきたVTuberとその製作者は活躍の機会と仕事を失いました。
そう、VTuberや動画を作成したのは、他ならぬ全国フェミニスト議員連盟が応援するはずの女性でした。
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この行為自体、私は議員が公権力を駆使して「表現の自由」を侵害しようとする不見識・不適切な行為だと考え、上記署名ページに賛同し、抗議の声を上げてきました。
ただ一方で、ここまでは価値観や主義主張の相違であるとも思います。
全国フェミニスト議員連盟が政治活動として県警や市役所に動画の使用中止を主張する権利は誰にも奪えませんし、それも彼らの理念・信念に基づくものなのだと理解はできます。納得はしませんが。
しかしながら、こうした行為に寄せられた批判に対する全国フェミニスト議員連盟のトンデモ釈明については、主義主張以前に議員としても人としても看過することはできません。
画像を拡大して要点に赤線を引きます。
もう無茶苦茶言ってますよ。私たちは公的機関の「認識を問うた」だけで、動画を削除したのは千葉県警だ(から自分達は関係ない)というわけです。
本当にそうでしょうか。全国フェミニスト議員連盟が「提出した文書」を見てみましょう。
序盤から「強く抗議し、当局の謝罪、ならびに動画の使用中止、削除を求めます」とはっきりと記載してあります。
これで「認識を問うたもの」だと言いはるのは端的に言ってウソ・虚偽の類であり、自分たちの行いやそれに対する意見に向き合わない、極めて不誠実な態度であると強く指摘をせざるを得ません。
「おまえなんか、やめちまえ!いなくなっちまえ!」
と相手に言い放って相手を追い詰め、本当に辞めたりいなくなってしまっても、「それは彼が自分で決めたことだから私は関係ないです」とでも言うのでしょうか。
全国フェミニスト議員連盟の今回の主張は、言うなればいじめ加害者による言い訳そのものです。
さらなる説明や、せめて当事者との話し合いはされないのでしょうか。これなら
「今回の県警の対応は、私たちの主張に沿ったもので高く評価する。今後もフェミニズムの観点から啓発活動を行い、女性蔑視の表現については廃絶を目指していく」
とでもはっきり言ってくださった方が、まだしもすっきりしたと思います。納得は勿論しませんが。
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私はフェミニスト・フェミニズムとは意見や価値観が異なることも多いですが、20代の頃に読んだ
「家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平(上野千鶴子)」
に感銘を受けてから、アカデミックなフェミニズムに対しては一定の敬意を払ってきました。
今回のケースのように、自分たちの主観で「正義の棍棒」を振りかざして女性の活躍の機会と仕事を奪い、平然と責任逃れをすることが本当にフェミニズム・フェミニストの目指すものだったのでしょうか。
本件以外にも、最近は「フェミニズム」界隈で不穏当な事件が続発しているように感じます。
フェミニズムが一人一派であるとはいえ、建設的な主張をしていくためにも、真摯にフェミニズムに向き合っている方々、つまり内部からも問題提起や改善の声が上がることを願ってやみません。
それでは、また明日。