被災地支援にはトリッキーな「特例対応」のみならず、普遍的な支援制度の早急な確立を【災害対策特別委】

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

本日、災害対策特別委員会にて無事(?)にデビュー戦を終了しました。私からは

1.
被災時の倒木対策について(和歌山県の先行事例を例に)
2.
一部損壊家屋に対する特例的な対応について
3.
原発処理水への対応について

の大きく3点を取り上げました。本日はまずメインであった2点目をブログで取り上げたいと思います。

東京新聞:台風15号被害 瓦屋根修理費、国が支援 一部損壊 公費分の9割
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092502000136.html

今回の大型台風の被害を受けて、国は千葉県内の「一部損害家屋」への支援する方針を固めました。

現在の国の法制度では「全壊」「半壊」に対しては被災者生活再建支援法に基づいて支援金が出されますが、「一部損壊」は対象外。

そして今回の千葉県を中心とする台風被害では、屋根瓦など「一部損壊」と判定される被害があまりにも広範囲に渡ったため、いわば特例的に「一部損壊」に対しても国の支援が行われることになります。

まず前提として、一部損壊の方々にも支援が行われることは大賛成です。財源の許す限り、一人でも多くの方に寄り添った対応がなされるべきです。

しかしながらそれは、できる限り公平で持続可能な手法によるものであるべきです。

新しい制度が施行されたときに「なんで今回だけ(から)なのか」「過去の分はどうなるのか!不公平だ!」という声は少なからず出てしまうものですが、だからこそきちんとした理由付け・制度設計が重要になります。

その観点から見ると、今回の国の支援スキーム(手法)には課題・改善点があると言わざるを得ません。

非常に複雑なのですが、今回の国のスキームは既に存在する「防災・安全交付金の効果促進事業」という制度を(やや強引に)利用しています。

これは端的に言うと、「防災」に主眼が置かれた事業に国が補助を出す制度で、そもそもは「被災後」の損壊家屋の修繕などは前提とされていません

でもこれをなんとか解釈すると、「耐震性の向上」という観点で一部損壊家屋の修繕にお金を出せるのではないか。さらにそこに国からの特別交付金を上乗せして、トータル9割まで補助をしましょう!というやり方を取っています。

となると…新設ではなく既存の制度を使い、そこに特別交付金を上乗せしたわけですから、だったら以前の被災自治体も同じスキームが使えたのではないか?という疑問が当然に出てきます。

実際に京都市などでもこの「効果促進事業」を活用して、実質的な被災者支援を行っている例もあると仄聞しています(調査中)。

新設ではなく既存制度の活用となると、ここにも特別交付金を付けて、9割補助まで行わなければ整合性が取れなくなります

そもそもこの「効果促進事業」が防災ではなく被災に使えるということを、これまでほとんどの自治体が知りませんでしたし、周知もしていませんでした。

実際、国交省も制度設計の想定外であったことをほぼ認めています。

本来は防災にニーズのある自治体が手を挙げる、自治体の裁量に任せた制度を元として、公平性が求められる被災者支援が、特別交付金まで用いて行われることには違和感があります。

何より制度の根本趣旨は防災ですから、今は被災に使われることを前提とした予算も事業内には確保されていません。

現状の災害救助法等の枠組みでは、一部損壊の住宅に充分な支援が行き渡らない点を政府が認めたわけですから、(本来趣旨と異なる)既存制度に交付金を乗せる特例的な対応ではなく、新たに一部損壊住宅を支援するための恒久的な事業整備や制度改正を行っていくべきです。

こうした点を指摘したところ、特別交付金の遡及的な適用については(今年度分のみ)前向きな回答が得られたものの、抜本的制度改正・恒久的制度の確立については

「現状制度を柔軟に活用し、被災者支援が充実するよう研究に努める」

という答弁に留まりました。

一人でも多くの被災者を救うために柔軟な・弾力的な対応が重要になる一方で、弥縫策(その場しのぎのツギハギ)では公平性・持続可能性が担保されません

いつ来るかわからない次なる大災害に向けて、全国各地の被災者が公平に受けられる支援制度(被災者生活再建支援法を一部損壊まで拡充する等)を確立されることを、引き続き強く求めていきます。

質問についての振り返り・解説についてはブイログでも取り上げましたので、こちらも合わせてご覧いただければ幸いです。

それでは、また明日。

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