幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもたち、 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子どもたちの利用料が10月1日から無料となる。お父さん、お母さんの負担軽減は、我が国の喫緊の課題である少子化の歯止めをもたらし、社会保障の持続や働き手不足の解消に一定の効果が期待できそうだ。
ちょうど1年前となる平成30年10月1日現在の待機児童の状況は...
■ 待機児童数の状況(H30.10.1:名古屋市)
隠れ待機児童数 2,111人(対前年比271人増加)
待機児童数 181人(対前年比71人減少)
※ 隠れ待機児童とは、保育園への入園を希望しながら入園できていない児童
※ 待機児童とは、保育所に入所を申し込んでいるのに、入所できない児童。特定の保育所を望む場合などを除く。
幼児教育・保育の無償化は喫緊の課題である待機児童対策にはつながらない。いやむしろ待機児童増加への圧力となる可能性がある。もちろん、3歳児以上の多くの子どもたちはすでに幼稚園や保育園に入園していることから、無償化によって3~入園希5歳児の入園希望が増えるわけではないが、昨今の社会経済情勢から、入園年齢の低年齢化が進む可能性は否定できず、待機児童はより増加すると考えられる。
入園時期の前倒しが進むことで、保育士や幼稚園教諭の不足も一層進む。労働実態に比して保育士や幼稚園教諭の給料が安いことなどの理由により、保育士・幼稚園教諭養成校を出ても約20%の学生は一般企業に就職している。一般企業と保育士との給与の格差である年80万円をどう埋めていくのか、労働条件の改善にどう取り組むのかなども課題となっている。先の本会議で保育士の給与問題等待遇の改善に向けた取り組みについて質問したところだが、名古屋市では未だ、その道筋は見えていない。なお、保育士の給与・待遇問題は保育の質にも大きな影響を与える。
また、財源の確保にも課題は残る。幼保の無償化は平成29年度の総選挙で安倍晋三首相が打ち出したもの。消費税を10%へ上げることで得られる財源のうち、7,764億円が無償化に回される。一方、愛知県負担分、市負担分を含めた財政負担は63億4,776万円(令和元年度)にのぼる。