札幌市2歳女児虐待死は防げたはず~要保護児童対策地域協議会の活性化を~  

札幌市でまた痛ましい2歳児女児虐待死事件が発生してしまいました。
当初は、警察が虐待を見過ごしたかのような報道がなされておりましたが、徐々に実態が明らかになるにつれ、警察と児相の言い分に乖離が明らかになってきております。

2歳女児虐待 警察と児童相談所の主張食い違い(19/06/11)(ANN)

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札幌児相の記者会見を拝見しておりますと、日本全国民は憤り通り越して唖然とするしかななかったのではないでしょうか?
薄ら笑いさえ浮かべ、ヒトゴト感満載で、どうしてそんな感覚でいられるのか、信じがたい思いです。
警察は夜間対応も可能でしたから、当然有事の際は児相に連絡します。しかしながら同行を断り臨検も対応せず、そもそも虐待発見通報後すぐに動くべき48時間ルールも守らず「リスクアセスメントシート」(虐待緊急性評価)も作らず、虐待を見立てる専門機関の児相が子の現認に関わらずして、これは人手不足だけが原因ではなく明らかな初歩的オペレーションミスではなかったのか、懸念するものです。

【児童相談所が有する権限】
これまで、目黒区5歳児女児虐待死事件、野田氏小4女児虐待死事件は、本来児相がその機能をはたしていれば十分に防げたはずですしその権限をそもそも有しているのです。
虐待法的対応
虐待法的対応2

せっかく警察が同行を求め臨検を提案していながらこれらの職権を「人員不足」を理由に放棄、放置したことは、到底納得いくものではありません。
そして、法治国家であり、子どもの権利条約に批准し、児童虐待防止法のある日本においては制度も機能も整っております。伝家の宝刀があるのに抜かない実態が明らかになったと思います。

【知っていますか?要保護児童対策地域協議会】
伝家の宝刀は本来最終手段であり、その前段の、セーフティネットは幾つも用意されているのですが、その代表的な組織はの一つが要保護児童対策地域協議会(通称:要対協)です。
虐待を受けている子どもを始めとする要保護児童(保護者不存在か保護者に看護させることが不適当であると認められ社会的養護が必要とされる児童)の早期発見や適切な保護を図るためには、関係機関がその子ども等に関する情報や考え方を共有し、適切な連携の下で対応してくことを目的とされ、児童福祉法に基づき区市町村に設置されています。平成28年度には1,727か所(99.2%)の設置となっています。(詳細こちら)
子どもに一番身近な基礎自治体の初動体制が、虐待死・虐待防止には重要かつ不可欠で、そのカギとなる組織が要保護児童対策地域協議会でなければならないと私は常々考えておりました。

東京都においては区市町村においても60自治体が、設置され、協議会では、児童相談所、区市町村の子供家庭支援センター、保健所、学校、警察、医療機関など各構成機関が必要な情報交換や支援内容に関する協議を行うなど、連携強化を図っています。

そこで各区市町村における、代表者会議、個別ケース検討会議、実務者会議の開催状況と出席者について実績を確認してみました。
平成29年度に国が実施した調査によると、要保護児童対策地域協議会を設置している都内60区市町村の平成28年度の各会議の開催状況は、代表者会議70回、、実務者会議536回、個別ケース検討会議5,759回、代表者会議と実務者会議を併せ持った会議3回、実務者会議と個別ケース検討会議を併せ持った会議173回となっています。
残念ながら出席者についての統計はありませんが、同調査によると、主な構成員は、児童相談所、区市町村児童福祉主管課・母子保健主管課、警察署、保育所、幼稚園、小学校、中学校、教育委員会、民生児童委員協議会、社会福祉協議会、保健所、病院・診療所などとなっています。

一応、制度も組織も整って運営していることが読み取れます。

【専門機関が集まっていながらなぜ子どもがとりこぼされるのか】
東京都では昨年の目黒区5歳女児虐待死事件直後は、私しか疑義を質さななかったものの、その後「おねがいゆるして」ノートが発見され世論の批判に耐えきれず、9月に「都虐待防止緊急対策」が発表され先の第一回定例会では虐待防止条例が制定されました。しかしながら、その中身は、私にとっては弥縫策にしか見えませんでした。(過去blogご参照都虐待防止緊急対策と条例方針が発表されるも。)

児童虐待対応の連携強化に関する協定書」4.にある以下の「働きかけ」止まりが必ずや、重大事件を引き起こす盲点となるのではないかと危惧していたからです。

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4 要保護児童対策地域協議会における連携の促進
東京都福祉保健局少子社会対策部と警視庁生活安全部少年育成課は、各地域で開催される要保護児童
対策地域協議会における代表者会議、実務者会議及び個別ケース検討会議において児童相談所と管轄警察署がともに参画し、関係機関において、情報交換、意見交換が積極的に行われるよう必要な働きかけを行うものとする。
*****

タマムシ色で具体的ではない「働きかけ」では、絶対に制度や縦割り行政のはざまに子ども達が零れ落ちる!と直感していました。

いやな予感はあたり、東京都ではないですが構造悪は同じく、案の定、悲しいことに野田市と札幌市の事案が発生してしまいました。

【要対協個別ケース会議で地元警察署との虐待情報全件共有を】
私は、要対協における「個別ケース検討会議においては警視庁と全件共有する」と定義するべきではないかと、協定書締結の時から警鐘を鳴らし、文書質問でも東京都福祉保健局に求めております。

しかしながら、福祉保健局及び児童相談所においては、要保護児童対策地域協議会における個別ケース検討会議では、「具体的な支援の内容等を検討するため、協議会が個別の事例の支援内容に応じて、警察には参画を求めている」程度に現在とどまっております。

広島県等、個別ケース検討会議にて地元警察署も参加し全件共有をしております。各警察署が積極的に全件共有にむけて協力するよう警視庁本庁へ要請すべきと考え、現時点出席の有無、出席してどのような情報共有をしているのか確認したところ「個別ケース検討会議への警察の出席の有無等に関する統計はありません。」とのことでした。

組織と制度つくりました、虐待死があれば、人手不足でした。子どもの命が奪われても「不幸が重なった」と弁明。

今年3月虐待情報全件共有へ 道立児相と道警 早期発見狙う 札幌市児相は行わずという報道がなされ、札幌市は何を考えているのかと思っていたところの2歳女児虐待死事件。
昨年札幌に視察に参りましたが、東京都も否めませんが、多くの職員をオリンピック誘致部署に配属させ、本来、手厚くしなければならない部署に職員を配属していたのではないのか、あのヒトゴト会見は「人員を回しもくれずやってられない!」的な思いの表れでもあたのか?気になった次第です。

後を絶たない、後手後手に回る失態は、持っている職権を「出来ないこと探し」ではなく、「どうしたら助けられる」か探しに転じて頂きたい。そのためにも、札幌市児童相談所で夜間対応ができないなら、3月に警察とどうして全件共有しなかったのか、していたら、2歳女児は助けられたのではないか、と胸がつぶれる思いです。札幌市は子どもの権利条例も、子どもの権利救済機関「子どもアシストセンター」あり、果たしてその子どもの人権救済の行政理念は機能しているのか?!お姐のように追及し闘ってくれる札幌市議の活躍を祈るのみです。
共に闘っている、都へも陳情を提出された後藤啓二弁護士も行動を起こしております。
虐待防止へ5度目の要望書「政府許されざる怠慢」

【お姐総括!】
江戸川区では、2010年小1男児虐待死事件からのお姐悲願の児童相談所移管が来年実現します。

小池知事は本定例会所信表明で
「ルイス・キャロルの小説であります、「鏡の国のアリス」に登場する「赤の女王」は言います。「その場にとどまるには、全力で走り続けなければならない」。そして進化遺伝学では、この言葉にちなんで、「生物の種は、絶えず進化しなければ絶滅する」との仮説が提唱されております。この「赤の女王」の仮説で言うならば、令和の時代の東京とは、激動する世界のエコシステムの中で、持続可能な都市としてさらに進化をし、厳しい現状にある我が国を再び活性化する牽引役となるため、全力で走り続けなくてはなりません。そして、走り続けるその先に、東京と日本の明るい未来を切り拓いていく。」
と語られました。お姐も動物行動学及び遺伝子の話は大好きでまさにその通りですが、東京都というマンモスは果たしてそうなのか?

進化論で有名なダーウィンは「変化するものだけが生き残る」という言葉を残しております。地球環境の激変についていけず滅びたマンモスではなく、私は地域住民のために、即変化をし対策ととる、しなやかに生き残る小動物のような地方行政と地方政治家を目指したい。

児童相談所移管に伴い日本一の児相をめざう江戸川区においては、都の方針や支持を待つことなく、江戸川の子どもたちのために迅速に動く児相になって頂くべく引き続き江戸川区を支えてまいります。

【追伸】
東京都福祉保健局ホームページ「東京OSSEKKAI」について、あろうことか「虐待防止推進」を「虐待推進」と表記するという、あってはならない誤りがありました。虐待防止条例が制定されたばかり、札幌の事件で世間の注目が集まっている中、業者丸投げ体質が浮き彫りとなり誠にお恥ずかしく申し訳なく、お詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。今後も都議会議員としてさらに厳しく行政を監視してまいります。

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