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大丈夫なの?我社(日本)の社員事情

大学教育

前回のコラムで課題として挙げた高等教育での人材育成について、もう少し深堀りしていきたいと思います。

日本は大学進学率が高い国という印象をお持ちの方もいるかもしれません。 しかし、現実は異なります。 UNESCOの統計をベースにした大学進学率の国別比較を見ると、日本の大学進学率は64.1%。順位は49位となっています。 OECD加盟国の平均進学率を大きく下回っているのが現状です。

大学進学率が停滞する日本を尻目に、世界では大学進学率はここ10年で2倍近く上昇しています。先進国や経済成長国は高等教育政策を重視し、進学率を大幅に伸ばしています。大学進学率1位はギリシア。日本と同じ6・3・3・4制ですが、すべての公立学校での教育は無償化され、高い大学進学率を誇っています。

進学率に後れを取っている原因は、留学生の受け入れ数が少ないこと、「学びなおし」の機会としての社会人入学が他国に比較して少ないことも影響しています。そして、経済的な負担が大きいために大学進学を断念する場合もあります。2020年より高等教育無償化が制度化されましたが、所得などにより対象者が限定されており、抜本的な課題解決にはつながりません。

先進国では、高等教育の費用を公費負担することで高等教育を受ける機会を増やしています。スウェーデン・ノルウェーなどの北欧諸国では高等教育にかかる家計負担はほとんどありません。

これに比べて教育にかける公的支出が極めて少ないのが日本。高等教育に対する公的支出は少なく、GDPの約0.5%であり、OECD加盟国平均の半分以下です。日本では高等教育にかかる公的費用は約3割となっており、私費に依存している現状です。経済力の無い家庭では、奨学金として学生が借金を抱え、奨学金返済という重荷を背負ったまま社会人になっています。

日本は大学教育の質に関しても後れを取り、イギリスの教育関連情報誌「Times Higher Education」が発表する世界大学ランキングを見ても明らかです。400位以内にランクインしている大学は6校のみ。日本で最上位の東京大学でも35位となっています。

日本の大学は外国語教育や国際教育などに劣り、グローバル化が進む中で大きく後れを取っている現状です。

学生のレジャーランド化している日本の大学教育から脱却し、世界で活躍する優秀な人材を育成していく必要があります。そのためには大学の教育課程を見直していく必要があります。

アメリカをはじめとする諸外国では課題も多く卒業へのハードルが高いのに対し、日本の大学は入学すれば卒業までの道のりがほぼ保証されています。入学と同時に学習することへのモチベーションを失ってしまうのが今の大学教育の現状です。

大学の名前ばかりを重視する企業の採用活動も大きな問題点です。欧米では学内でどのような成績を残したのかを評価する仕組みがあり、就職活動にも大きく影響します。質の高い学びの場にしていくためには、入学後も学生が切磋琢磨できる環境を作っていくことが必要です。

高等教育を、より質の高い人材を輩出する学びの場にするためには、欧米諸国に倣い、教育への公的資金を投入していくことが必要です。優秀な教育者・IT等の教育環境整備、国際交流や語学教育の促進など、高等教育をアップグレードしていくことが必要です。

それが日本の人材育成、そして国際競争力の向上につながるのです。

世界の大学進学率 国別ランキング・推移

https://www.globalnote.jp/post-1465.html
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山口和之
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