コールドチェーンとは、食品などの品質(おいしさ)を保つため、流通全般(生産地・卸売市場・小売とそれらを結ぶ物流)にわたって管理の鎖(チェーン)が切れないようにすること。1990年代以降、低温物流業界の各分野で整備が進み、今や世界的な潮流になっているが、この分野では日本は欧米諸国と比べて遅れを取っているといわれている。
特に課題となっているのは、卸売市場におけるコールドチェーンの遅れ。低温管理は「閉鎖型の施設」が基本だが、豊洲市場を除く国内の卸売市場は今も「開放型」の施設が多い。
一方、食の安全・安心に対する消費者ニーズが高まり、卸売市場の取引先である小売店・量販店等からの品質管理の要求水準が高まっていることから、農林水産省「第9次卸売市場整備基本方針」では、コールドチェーンへの対応を求めており、生産地においても卸売市場におけるコールドチェーンの確立を望む声は年々高まっている。
そこで、名古屋市中央卸売市場(熱田区川並町2-22)の現状を調査した。
左写真は4月9日(土)午前6時の名古屋市中央卸売市場青果の仲卸の様子。国内の卸売市場の多くがそうであるように、名古屋でも仲卸が屋外の駐車場で行われていた。うかがうと、気温が30℃をこえるような暑い夏の早朝においても、また大雨の日であっても、大雪の日であっても、やはり仲卸は屋外で行われているとのこと。
生産地から卸売市場まで、また、卸売市場からスーパーまではコールドチェーンが確立しつつあるにもかかわらず、卸売市場だけが開放型となっていることを知っている市民の方々はあまり多くはないが、見ていて決して気持ちのいいものではなく、また、品質管理にこだわって生産している生産者の方々にも本当に申し訳ない。さらに、屋外での仲卸は小動物や虫などのリスクもあり、早急に温度管理を徹底しコールドチェーンが確立された閉鎖型施設の転換の検討が必要だろう。もちろんコールドチェーンの確立によって品質管理がHACCPに適合することから、海外への商品流通も可能となることから、新たなビジネスにつながる可能性もある。
なお、市場関係者からも名古屋市に対して、コールドチェーン並びに閉鎖型施設の検討を再三、要望しているとのこと。
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