都市農業の振興には新しいビジネスモデルの構築を



ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、植物油や穀物、肉類などの価格が統計開始以来、過去最高を記録するなど物価の上昇が加速している。

いうまでもなくロシア・ウクライナは小麦やトウモロコシなど世界的な穀倉地帯。これらの地域から農産物の輸出が滞れば、世界的に食料の供給に打撃を与え、その波は直接・間接的を問わず日本にも影響を与える。

農林水産省によると、令和2年度の日本のカロリーベース食料自給率は37%。もし食料の輸入がストップした場合、食に与える影響は甚大だ。なお、名古屋市の食料自給率はわずか1%。
農業は国家存続の根幹であり、豊富で多彩な農産物と食文化は豊かさそのもの。食料安全保障上も、持続可能な農業を着実に進めなければならない。

さて、平成27年4月には都市農業振興基本法が制定されるなど、都市農業の多様な機能が注目されている。

■ 都市農業の持つ多面的な機能
・新鮮な食べ物を作る機能
・環境を守り、街並みをきれいにする機能
・農業を体験することで食や農について学ぶ場を作る機能
・地域の人や農家と交流しふれあいの場を作る機能
・災害時に周辺の住民を守る防災機能
とりわけ消費地に近い都市農業は、新鮮な地域産の農産物を都市住民に供給することが可能だ。名古屋市内の都市農業においても農家戸数は減少傾向にある。しかし、経営規模は小さいものの、消費地に近いことから、需要に即した農産物の生産・販売が行われており、比較的収益性の高い農業が営まれている。

しかし、名古屋市内では遊休農地(認定分)が年々拡大している。


■ 区別 遊休農地認定面積(令和3年度)
緑区  9,447㎡
中村区 618㎡
中川区 3,531㎡
港区 14,539㎡
守山区 14.141㎡
合計 42,276㎡


農業従事者の高齢化が遊休農地拡大の背景にあることから、農業の担い手の確保が急務だ。特に期待されるのは、農業経営形態の多様化の推進。IT産業界など他産業から活力のある企業の参入を促進し、農産物を売って利益を上げる従来型経営モデルに加え、都市農業にふさわしい多様な機能のサービスを提供するビジネスモデルの構築が望まれる。維持・管理を経営的、技術的にサポートする仕組みの構築とともに、企業参入の促進、人材育成等のための産学官の連携が不可欠だろう。

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横井利明
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