なかなか進まない名古屋市のアセットマネジメント (2)

名古屋市が所有する公共施設は、約2700施設、延床面積で約1000万㎡(ナゴヤドーム 約200個分)にものぼる。そして、これら公共施設はアセットマネジメント を謳う一方で、今も増え続けている。

■ 公共施設の構成
・市営住宅 48.2%
・学校 26.7%
・一般施設 25.1%(コミュニティセンター、生涯学習センター、地区会館、文化小劇場、図書館、博物館・美術館、スポーツセンター、市役所・区役所など)

公共施設は、戦後の急激な人口増加や高度経済成長に伴う社会的ニーズに対応するため、昭和40年代から60代を中心に整備された。それら公共施設の多くが老朽化(令和4年には築40年の建物が56%)を迎えている。これら施設の長寿命化を実施したとしても、今後の維持更新にかかる費用は令和5年度から一気に増加し、1年間で750億円にものぼるとされ、財政局の試算では毎年350億円ほど本市財源は不足するとされている。

本市が今後も、福祉、医療、子育て、教育等の様々な市民サービスを将来にわたって持続可能なものとするためには、「施設の集約化」「保有資産の有効活用」「財源の涵養」が必要となる。

■ 今後の公共施設の維持更新にかかる費用をマネジメントするためには
〇施設の集約化
・類似・重複施設の統廃合
・集約化による土地の高度利用
・官民の役割分担(公共施設から民間施設等)
・施設重視から機能重視への転換
・民間による公共サービスへの転換
・県・周辺自治体施設・事業の統廃合
・民間施設・事業の統廃合
など

〇保有資産の有効活用・財源の涵養
・既存施設の活用
・財産の売却
・ネーミングライツや所有建物等への広告
・本市が所有する権利や権限・規制等の売却
など

なお、本市が進めようとしている「施設の長寿命化」は、「施設の集約化」の過程の中で検討すべきものであり、まず「施設の長寿命化」ありきの本市の姿勢は、なかなか進まない名古屋市のアセットマネジメントの一つの理由と指摘せざるを得ない。(次回は具体的なアセットマネジメントの提案)
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横井利明
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