名古屋城天守閣木造復元2027年完成時期の明言で窮地に

9月25日に開催された経済水道委員会で、松雄観光文化交流局長は、新たな名古屋城天守閣木造復元完成時期について2027年を目標に復元を進める考えを明らかにした。

すでに名古屋市は、木造復元の完成時期について、解体工事のために必要な文化庁の許可を得られず、計画が難航していることなどを理由に、2022年12月の復元完成を断念すると発表している。この間、なんら根拠もないまま、また文化庁や石垣部会との調整も経ることなく、2027年を新たな目標時期としたことで、各方面に波紋が広がっている。

■ 松雄観光文化交流局長答弁全文
「どれくらい期間がかかるかの前に、ずっとスケジュール感がないのは2つの理由で許されないと思う。名古屋城全体は起債を頂いて事業をやっているので、総務省にもスケジュールを出させて頂いている。また先ほどの質問にもありましたが、技術提案交渉方式での期限があるので、どれくらい伸ばすことができれば、その範囲内で収まるのかという難しい問題もあります。弁護士の先生からは10年は長すぎる、長くても5年だということも言われていますので、まず5年マックスという範囲の中でどれくらい必要なのか、調査がですね、そういうスケジュール感を持っています。役所の中では、やはり2年程度はいろいろな調査でかかるという議論をしているのは事実でございます。」

今回、観光文化交流局の誤りは大きく2つある。

ひとつは、特別史跡、いわば国宝である名古屋城天守台の石垣の保全計画の提出を求められている中で、いまだ計画づくりが全く手つかずのまま、天守閣の完成時期だけを述べてしまったことから、保全に向けた計画づくりならびに石垣を保全する考えが全くないことを表明してしまったようなもの。なお、ヨコイからは松雄局長並びに幹部職員に対して、天守閣木造復元完成時期を軽々に述べるようなことがあれば、文化庁も石垣部会も名古屋市には石垣を保全する考えはないと判断してしまう可能性があり、慎重に対応してほしいと再三にわたり訴えてきた経緯がある。もちろん、石垣の調査に2年など、なんら根拠もなく述べてしまったことも問題であることは言うまでもない。

また、もう一つの誤りは、「弁護士の先生からは10年は長すぎる、長くても5年だということも言われていますので、まず5年マックスという範囲の中でどれくらい必要なのか、調査がですね、そういうスケジュール感を持っています。」と述べてしまったこと。名古屋市と竹中工務店の間で交わした技術提案交渉方式の契約の有効期限について、弁護士が意見として5年とした考えを、名古屋市として認めてしまったところにある。つまり、天守閣完成時期が2027年をこえた時点で、本市と竹中工務店の契約については契約の正当性に問題があるかのような印象を答弁の中で市民に対し与えてしまった点。もちろん、石垣保全が全く進まない中で2027年までに木造復元が完成するはずもなく、この答弁通りに判断すれば、竹中工務店との契約解除は時間の問題ということになる。

この日の委員会では、石垣の保全のあり方について「応急的」という発言もしており、この発言自体も文化庁や石垣部会から様々なご意見をいただく可能性のある発言だ。

文化庁や石垣部会との関係修復に向けアドバイスをしてきたが、観光文化交流局がことごとくそのチャンスをつぶしてきた。そして今回の答弁でその関係は決定的になったものと考えられる。観光文化交流局が課題を直視せず、「文化庁が認めない」「石垣部会が反対するから」「議会が...」と全て周りに責任を転嫁する姿勢を続ける以上、この問題は解決しない。

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横井利明
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