南区・港区を流れる大江川は、高度経済成長期に近隣の工場から排出されたPCBや水銀、鉛、シアンなどを初めとする重金属が河床に堆積したままとなっている。その重金属汚泥の量は約22万立方メートル(ナゴヤドームの容積の半分)にのぼる。
昭和50年代には、重金属汚泥が人体や環境に与える影響が問題となり、汚泥の上に砂層を被覆し、その上部をアスファルトマットを敷く対策が施工された。しかしすでに施工から40年以上経過し、アスファルトマットの劣化による重金属の漏洩が懸念されている。
一方、愛知県は東日本大震災の教訓から地震による河川への影響を公表。大規模な地震が発生すると液状化が起き、汚染された土壌が地表に出てくる恐れがあることから、昭和50年代に計画した大江川下流部の埋め立て計画について再検討したが、膨大な費用がネックとなり、住民は危険と背中合わせで生活せざるを得ない状況が続いていた。
横井利明は平成30年11月28日の名古屋市会本会議で、大江川の埋め立てにリニア建設の発生土を利用することにより、JR東海の力を借りて埋め立てすることができないか提案。名古屋市もJR東海も前向きな対応を検討していただいていた。
名古屋市は令和4年度までに、大江川の埋め立てに係る環境影響評価を行ったうえで、令和5年度、国土交通省に対し、大江川の埋立許可申請を行う見通しだ。令和5年12月までには埋め立て免許を取得し、令和6年3月以降、埋め立て事業が始まる。埋め立てによって、重金属汚泥の流出への懸念がなくなるだけでなく、大江川を埋め立てることにより津波や高潮への不安もなくなる。そして、埋め立て後は、巨大な緑地が名古屋市南部に誕生する。市民の健康や交流促進に寄与することが期待される。
※ 資料は平成30年11月29日付中日新聞朝刊記事(横井利明本会議質問)