平成20年のリーマンショック以来増加を続けてきた生活保護受給者数が、平成27度をピークに減少に転じている。平成30年度における生活保護受給者数は47,878人だった。
これは、景気回復に伴う雇用環境の改善・人手不足を背景に、その他世帯(現役世代)の受給者数が過去5年間で13.5%減少していることが大きく影響している。一方、高齢者の受給者数は過去5年間で15%増加し過去最多だった。また、過去5年間で母子世帯は16%、傷病者世帯は13.5%それぞれ減少している。
■ 生活保護受給者数推移(市全体)
平成26年度 49,280人
平成27年度 49,341人
平成28年度 49,183人
平成29年度 48,663人
平成30年度 47,878人
■ 生活保護受給者数推移(その他世帯・現役世帯)
平成26年度 7,970人
平成27年度 7,548人
平成28年度 7,365人
平成29年度 7,208人
平成30年度 6,889人
■ 生活保護受給者数推移(高齢者世帯)
平成26年度 17,488人
平成27年度 18,433人
平成28年度 19,124人
平成29年度 19,701人
平成30年度 20,060人
これにより、生活保護費はこの5年間で5%減少した。
■ 生活保護費推移
平成26年度 875億円
平成27年度 874億円
平成28年度 868億円
平成29年度 851億円
平成30年度 839億円
生活保護からの脱却のためには、持続的な景気の回復が必要であることは言うまでもない。米中貿易摩擦や欧州経済などを起因とする世界的な景気の減速傾向は生活保護行政に大きく影を落とす可能性があるが、優れた革新的ビジネスモデルや最先端技術を導入することでイノベーションを引き起こし、成長のための知見やノウハウを蓄積、拡張させていくスタートアップ・エコシステムの形成により、本市における景気・雇用対策に対する投資を積極的に行っていく必要がある。
ただ、長い目で見ると、急速な高齢化の進展により、生活保護受給者数の増加は避けられない。生活保護は最後のセーフティネット、あるいは、雇用、社会保険に次ぐ 3 番めのセーフティネットと言われており、その充実は必要であることは言うまでもないが、労働を希望する高齢者の方々が「働くチャンスのある社会」の再構築も必要なのかもしれない。