小学校における新たな運動・文化活動

名古屋市は令和3年度より、小学4年生から6年生の子どもたちを対象に放課後に教員が指導していた「部活動」ではなく、民間委託による「新たな運動・文化活動」を実施している。

■ 名古屋市立小学校における新たな運動・文化活動
〇 対象児童
市立小学校4年生から6年生の児童
〇 活動日
週3日(休日、小学校の長期休業期間等を除く)
※曜日は学校ごとに異なります。
〇 活動時間
1日1時間半以内
〇 活動場所
小学校内
〇 活動内容
軟式野球、ソフトボール、サッカー、バスケットボール、器楽、合唱等
※学校ごとに異なります。
〇 費用
参加は無料

市教委が新たな放課後の活動に取り組む理由として、「子どもたちの運動・文化活動の機会の確保と部活動指導に関わる教員の負担軽減を図るため、教員以外の指導者による新たな運動・文化活動を実施する。」と説明しているが、やはり最大の理由は長時間労働が問題となっている教員の負担軽減だろう。部活は教員による自主的活動というのが建前だが、部活動指導に自らの意思で従事している教員の一方で、その競技の経験や専門知識がない教師が顧問になることも少なくやらされている感が否めない場合があることも事実だろう。

一方で、部活動が児童・生徒指導に極めて役立っているといった背景もある。部活動では共通の目標に向かって努力する過程を通して、顧問と生徒の信頼関係が深まり、教員にとっても、生徒理解をより深めるための重要な機会であること、また、運動部活動の充実により、生徒一人ひとりの教育活動全般への意欲が高まり、学校全体が活性化することもある。教員による部活動の廃止によって、失うものも決して少なくはない。教員による部活動の見直しが長らく叫ばれてきたにもかかわらず、これら部活動の役割が認められていたからこそ、教員による部活動の廃止がここまで遅くなってしまったと考えられる。

さて、今回、新たな運動・文化活動の導入で大きく変わったのは、「これまでより多くの種目に参加でき、子どもたち一人ひとりが可能性を伸ばす機会が増えたこと」。週に3日実施する部活動では、さまざまスポーツや文化活動に参加することが可能となった。だれもが楽しく活動を経験できる一方、技術の向上といった面は以前ほどの効果は期待できないかもしれない。

■ 小学校における新たな運動・文化活動の種目(令和4年1月末日現在:名古屋市)
〇 運動種目
1. サッカー 261校
2. バスケットボール 258校
3. 軟式野球 245校
4. ソフトボール 140校
5. バレーボール 98校
6. 総合運動 41校
7. 卓球 8校
8. ハンドボール 4校
合 計 1,055校

〇 文化活動
1. 器楽 214校
2. 合唱 107校
3. 音楽 19校
4. 和太鼓 5校
5. 将棋 1校
合 計 346校
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横井利明
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