子どもより忖度

「11月24日の私立学校の休業日につきましては、「県民の日学校ホリデー」の制度としてではなく、子どもたちのことを考えて実施する。」

議場に一瞬、緊張が走った。

9月14日の名古屋市会本会議。中川あつし(減税日本)の質問に、坪田知広名古屋市教育長が答えた。名古屋市教育委員会は子どもたちより市長への忖度なんだと感じた瞬間だった。

■ 子どもたちへの説明をどうするのか。
県民の日学校ホリデー愛知県の公立学校で「県民の日学校ホリデー」が始まります!

名古屋市教育委員会の指示で本年4月、市内すべでの公立学校で「県民の日学校ホリデー」を周知する案内ビラ(左写真)が配布された。ビラにはその趣旨や目的等が記され、子どもたちにも「県民の日学校ホリデー」への期待が高まっていたはずだ。それが突如として、何の説明もないまま「県民の日学校ホリデーではなく」と変更された。

学校や議会、庁舎内での議論もないまま教育長答弁で制度を一方的に変更し、学校現場では子どもたちにどうやって説明するのか。まさか、「河村市長が知事が嫌いだから、県民の日のネーミングが気に入らなかったからかえた」とでも説明するのだろうか。

また、「県民の日学校ホリデーの制度としてではなく、子どもたちのことを考えて実施する。」この教育長答弁を見る限り、「県民の日学校ホリデー」は、子どもたちのことを考えていないようにも読み取れる。県の制度に乗っかった上で、県の制度を批判し、市の制度として実施するようにもみえて、大変不愉快な話だ。

さて、「県民の日学校ホリデー」は「あいち県民の日条例」に基づき、家庭及び地域における体験的な学習活動、その他の学習活動のための学校休業日。一方、昨日の本会議では、名古屋市教育長は「日頃の疲れをいやす機会」と説明した。子どもたちの中には学校生活に疲れている子どもがいることは間違いないし、そうした子どもたちに休息が必要なことも十分理解できるが、その位置づけであれば、疲れを感じるたびに学校には休業日が必要になってしまう。この理由なら、休業日をどんどん増やさなくてはいけないかもしれない。

さらに、今回の名古屋独自の「休業日」には条例上の位置づけも要綱もなく、ただ単に「県民の日」というネーミングが気に入らないから行き当たりばったりの説明で、市独自の休みにしたとしか理解できない。

そして今回の一連のできごとは、教育委員会制度の根幹にも影響する「事件」だ。教育委員会法でも文部科学省の説明でも、「教育委員会の首長からの独立」「政治的中立」がうたわれているにもかかわらず、適切な手続きを踏んで進めてきた「県民の日学校ホリデー」を、「わしは聞いとらん」の一言で、首長の言おうがまま従来の決定事項をすべて返上してしまった名古屋市教育委員会。市長への忖度に走り魂を捨てたといわれても仕方がない。
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横井利明
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