市内・周辺で感染が拡大した場所を公表します

「新型コロナウイルス感染症が、どういった場所でどんな場面で感染が広がっているのか、それらデータを統計処理し市民に示すことができれば、多くの市民は感染からの回避行動をとることができ、感染拡大を食い止めることができる。」そのように考えている市民は少なくない。

しかし、名古屋市は、厚生労働省が作成した情報公開に関する基本方針に準じ、感染症の発生状況などの情報を公表しているものの、個人情報の保護を理由に、新型コロナウィルスの感染が拡大したものと推測される場所や場面など感染者の行動歴につながる情報は、一切、公表していないのが現状だ。

一方、感染者を特定しようとする市民がネット上で実名などの個人情報等を投稿したり、それぞれの地域で感染者を批判したりその家族を排斥したりといった許されざる事態が発生している。外出制限や収入の減少など、多くの人が我慢を強いられている中、ストレスがたまり、感染が広がった事業所を徹底的に糾弾してよいという風潮が広く地域社会に蔓延しているのも事実。より詳細な情報を公表することによって、個人の氏名や住所まであばかれたり、地域からの排除や子どものいじめににつながったりすることも想定され、より慎重でなくてはならないのもよくわかる。

さて、香港など感染拡大を抑え込もうとする国々では、個人情報には配慮しつつも、感染拡大防止の観点から、積極的に感染拡大した場所、場面、状況を公表している。市民はパソコンやスマホを利用してこれら情報に容易にアクセスできるとともに、市民一人ひとりが状況を的確に判断し、感染が拡大する場所や場面には近寄らないことによって、社会全体の感染拡大を市民の手で防止している。

私は感染症に対しより賢明で正しい判断ができる市民、いわゆる「感染症対策に強い市民」を育てるのもまた、行政や国の役割であり、市民の皆さまが感染から回避するための重要な情報まで非公開とすることにより、市民の判断する能力をはく奪する現在の手法には疑問が残る。もちろん、個人の氏名や住所が類推されるような情報の公表は論外であることは当然のこと。

そこで、個人情報に十二分に配慮しつつ類推される感染場所をまとめてみた。

■ 名古屋市内や周辺で感染が拡大したとされる主な場所
1. 多数の者が、集団となって利用するスポーツ施設や高齢者福祉施設等
・スポーツクラブを中心としたクラスター(県内39人うち市内28人)
・デイサービスセンターを中心としたクラスター(市内73人)
・保育園を中心としたクラスター(県内18人、市内13人)
・サービス付き高齢者住宅(市内2人)
・雀荘
※ 利用者が複数のスポーツクラブやデイサービスセンターを利用したことで、他の施設に感染が拡大したもの。

2. 競技時に競技者同士が密着することが多いスポーツの場
・県警による剣道練習(愛知県武道館)、機動隊等(県内25人、市内11人)
・他にボクシングなどの密着するスポーツ

3. 複数の者が、近距離で長時間、飲食を共にする場
・スナック・キャバクラ等(市内4人)
・焼肉屋・居酒屋等(市内7人)
・ナイトクラブ(4人)
・ホームパーティ( 県内20人、市内6人)

4. 職場内
・職場A(市内3人)
・職場B(市内3人)
・職場C(市内2人)
・職場D(市内2人)
・職場E(市内2人)
・職場F(市内3人)
・職場G(市内3人)
・職場H(市内3人)
・職場I(市内2人)
・職場J(市内2人)

※ かっこ内は感染者数、重複計上あり
※ 上記計上していないものの、感染事例が最も多い場所のひとつは実は「家庭内」

接待を伴う夜の酒席やナイトクラブ等のほか、マンション内で開催されたホームパーティなどでの感染も多いことがわかる。また、職場内での感染の拡大も少なくない。一方で、親の仇のように営業を批判されたパチンコ店や、多くの方々が心配していた公共交通機関、公園での遊びや散歩、屋外でのスポーツ等では感染は確認されていない。

いずれにしても、上記のデータは5月5日までに名古屋市内で感染が確認された272人(再感染3人を含む)を分析したものにすぎず、この事例がすべてではない。ただ、市民の皆さまには、市内で感染が拡大した場所等に十分配慮していただくとともに、三密をさけ手洗いを徹底するなど、感染拡大には引き続き警戒していただきますようよろしくお願いします。
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横井利明
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