「名古屋市の財調、残り5,200万円へ(6月24日中日新聞朝刊)」
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止することを目的に、4月補正予算、5月補正予算、6月補正予算、6月追加補正予算が相次いで組まれたことにより、名古屋市の財政がひっ迫しているとの記事が、中日新聞の紙面を飾った。この記事を読んだ市民の皆さまから「ヨコイさん、名古屋市の財政は大丈夫か、第2波が来ても、名古屋市はお金がなくて対応できないのではないか。」など、数多くの不安の声をいただいた。
確かに、南海トラフ地震や大規模な浸水被害が発生した際、市民の安心安全を確保するなどの目的で財政調整基金を100億円積み立てていたものの、新型コロナウイルス感染症への対応で、財政調整基金の残高が5,000万円まで大幅に減少する見込みとなっているのは事実。
しかし、市民の皆さま、名古屋市の財政は全く揺らいでいない。
いや、見方によっては、4月当初より市の財政は潤沢になっているともいえる。
■ 名古屋市への交付額は124億円
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかな事業を実施できるよう設立されたもの。各自治体から対策実施計画の申請を受け付け、支給額が確定する。
政府は1次補正で1兆円の地方創生臨時交付金を創設しており、今回の2次補正でさらに2兆円を上積みする。なお、名古屋市は第1次で33億9,000万円の交付額が決定している。
第2次補正では「事業者への家賃支援や雇用維持」と、施設・イベントの再開支援など「新しい生活様式」への対応に、政府は全国の自治体に対してそれぞれ約1兆円を交付。「家賃支援や雇用維持」については人口や事業所数をベースに感染状況に基づいて算定、「新しい生活様式」は人口や年少・高齢者の比率、財政力などを考慮して各自治体への配分額が決定する。各自治体は交付金を活用し、「感染症拡大の防止」「市民生活支援」「事業者支援」「地域経済の回復」の4つの取り組みを進める。
そのような中、6月24日、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(第2次)」の交付額が名古屋市に通知された。
第2次の交付額は
123億7,600万円!!
内訳は
・家賃支援を含む事業継続や雇用維持等への配分 91億3,200万円
・「新しい生活様式」を踏まえた地域経済の活性化等への対応分 32億4,400万円
つまり、本市は新型コロナウイルス感染症対策として財政調整基金を約100億円使い果たしてしまったものの、臨時交付金を約124億円いただく見通しとなり、単純に比較すると差し引き24億円分が残ることとなる。もちろん、今後、新型コロナウイルス感染症対策としてさまざまな財政需要は生じるものの、現時点で申し上げれば、ほっと一息ついたといっていい。
さらに、9月には前年度決算剰余金の額が明らかとなるが、例年、約50億円確保していることから、新型コロナへの対応財源に使うことは可能だ。また、名古屋市の基金(貯金)は2,634億円の残高を有している。借金返済のために積み立てている公債償還基金を除いても約336億円の基金残高があり、一定の制約はあるものの新型コロナウイルス対応として取り崩すことは可能だ。
今後懸念される新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波に対応する財源は適切に確保されており、コロナに対応するお金が名古屋市にはないという心配は全く杞憂。市民の皆さまには引き続き「新しい生活様式」への対応による感染拡大へのご協力をよろしくお願いいたします。