減税日本ナゴヤ市会議員団が提出した「議員報酬800万円特例条例案」。本来、議員報酬に関する予算案や条例等は総務環境委員会に付託され同委員会で審査が行われるが、特例条例案提案理由説明の中で、財政調整基金 の取り崩しに触れるところがあったため、財政福祉委員会においても基金の取り崩しのための基金会計の補正予算が付議されていたことから財政福祉委員会でも委員間討論をおこなったもの。
質疑は主にヨコイと田山市議(減税日本ナゴヤ)の間で行われたが、減税日本ナゴヤのおかれている現状が随所で浮き彫りになった。
まず驚いたのは、減税日本の看板政策である「議員報酬800万円特例条例案」の提案理由説明を減税日本ナゴヤの議員の3議員全員が「そんなもの見たことがない」こと。つまり、減税日本所属議員の一部の議員だけで会派の同意を得ることなく勝手に提案理由説明をつくっていたことになる。党内民主主義が全く育っておらず、一部による独裁政治が党内で行われていたことが浮きぼりとなった。
また、提案理由には「報酬削減分をコロナ対策に充てる」としていたが、残念ながら「議員報酬800万円特例条例案」が可決成立し報酬が削減されたとしても、削減分は「不用額」として翌年に繰り越される仕組み。残念ながら条例を可決しただけでは、「コロナ対策に充てる」ことはできない。
また、「財政調整基金が年度末に5,000万円になる」として、市の財政状況を必要以上に悪く表現し民意をあおっていた点についても議論が集中。当局の答弁では、令和元年度末に100億円あった財政調整基金は今日現在も100億円そのまま残っており、また、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、第1次、第2次あわせて158億円を交付上限として交付されることが決まっている。さらに、決算剰余金が別途79億円本市の一般財源として活用できるだけでなく、公債償還基金を除いても別途336億円の基金残高が残っている。減税日本ナゴヤの「あと5,000万円しかない。だから議員報酬の削減が必要だ」という本市の財政状況の認識は、あまりにも事実とかけ離れている。
7月2日には、本会議でおこなった提案理由説明の議事録を削除すると言ったりやはり削除しないと言ったりして大ブレ。減税日本ナゴヤの考え方が二転三転したとして、減税日本ナゴヤ所属議員が財政福祉委員会で謝罪。そのなかで、「減税日本がおこなった提案理由説明には事実誤認と指摘されてもやむを得ない点が多々あり議会や当局の皆様、市民の皆さまに大変ご迷惑をおかけした。」と謝罪した。
共産党委員からも減税所属議員の説明は二転三転して理解できないと、明日の委員会での意思決定での反対を表明される始末。党内での議論も十分行われないまま提出され、またパフォーマンスに明け暮れた減税日本ナゴヤの提案は、結局どの党の理解も得られない見通しとなりそうだ。