小酒井不木 この男がいなかったら江戸川乱歩はなかったかもしれない展
小酒井不木 この男がいなかったら江戸川乱歩はなかったかもしれない展
名古屋市市政資料館来館者200万人突破記念「江戸川乱歩と名古屋展」が11月1日(日)から11月15日(日)まで開催されている。
私は小学生だったころ、たびたび南図書館に出かけ、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズや怪人二十面相シリーズを全巻読破。しかし、江戸川乱歩が3歳で名古屋に転居。幼少期から五中(現瑞陵高校)までの15年間を名古屋市内で過ごしたことは最近まで知らなかった。
さて、江戸川乱歩が「二銭銅貨」の原稿を雑誌「新青年」の編集長である森下雨村に送ったところ、雨村は小酒井不木(こさかいふぼく)に原稿を見てもらい意見を求めている。不木は乱歩の原稿を「日本にも外国の作家の塁を磨すべき探偵推理家がある。」と激賞。江戸川乱歩の探偵小説家としてのデビューにつながったことはよく知られている。
この江戸川乱歩を文壇に引き上げた立役者である小酒井不木に焦点をあてた「小酒井不木 この男がいなかったら江戸川乱歩はなかったかもしれない展」が「江戸川乱歩と名古屋展」と同時開催されていることから、11月3日(火)、両展示会を見学させていただいた。
■ 小酒井不木 この男がいなかったら江戸川乱歩はなかったかもしれない展
小酒井不木は推理作家、医学博士。1890年、蟹江町に生まれ、愛知県立第一中学校、第三高等学校を経て東京帝国大学医学部に入学している。研究の傍ら探偵小説家として活躍した。
さて、「小酒井不木展」を企画したのは、名古屋市職員有志らでつくる「なごや学懇話会(会長:米倉彰一)」。名古屋の歴史遺産や文化遺産を学び伝えながら、市職員自ら名古屋に愛着を持ち、名古屋のよさを知って市民の皆さんに名古屋市のいいところを語り継ぐことを目的として結成された。
同展の開催にあたり、金城学院大学の小松教授や蟹江町歴史民俗資料館の主任学芸員、蓬左文庫長、なごや学懇話会が何度も打合せと調査研究を行い、乱歩が名古屋の小学校に通っていた当時の新資料の発見や、貴重な鉛筆書きの創作ノートの確認に繋がった。小酒井不木に関する資料を調査する中で、蓬左文庫には不木に関する全国随一の貴重な資料がある事も判明。これまで十分整理がなされずに研究されて来なかったが、この小酒井不木資料を整理すれば、江戸川乱歩研究にも大いに寄与し、名古屋から情報発信できる可能性も出てきた。
また、名古屋には、乱歩、不木の他、逍遥、四迷、三郎なども活躍していたことから、将来、近代文学記念館のような整備を検討する中で、さらに文化の薫り高いまちづくりのきっかけにつながるかもしれない。
なお、「江戸川乱歩展」「小酒井不木展」は、会期中2000人の来館者を目指している。名古屋の文化に触れる機会でもあり、観覧を希望する方はぜひ11月15日までに市政資料館に足をお運びください。
■ 江戸川乱歩と名古屋展・小酒井不木展
と き 11月1日(日)~11月15日(日)
ところ 名古屋市市政資料館(名古屋市東区白壁1丁目3番地)
入場料 無料
※ 会場内の写真撮影は禁止されています。
※ ブログ掲載の写真は主催者の許可を得て撮影しています。