紙資源一括収集の実証実験結果(速報)

紙の原料は元をたどればすべて木材(パルプ用材)。不要になった紙を安易にごみにすることは、貴重な森林資源を浪費することにつながる。まさに古紙は国内で発生する貴重な資源であり、製紙原料の安定確保のためにリサイクルは重要だ。また紙のリサイクルは廃棄物として処理される紙の量を削減し、廃棄物減量化に貢献する。

さて、名古屋市は、「容器包装リサイクル法(略称:容リ法)」に基づき、日本容器包装リサイクル協会と契約を結び、紙製容器包装のリサイクルに取り組んでいる。しかし、紙製容器包装以外の紙、例えば「はがき」や「メモ用紙」などの「雑紙」は紙製容器包装ではないため資源袋に入れることができず、可燃ごみとして排出され焼却処分されている。

しかし、日本容器包装リサイクル協会と契約している自治体は、政令市に限って言えば、名古屋市と相模原市の2市のみ。他の自治体は協会から離脱し、容器包装も雑紙も同じ紙資源として回収している。

そこで名古屋市は、紙資源の回収率をさらに高めることを目的に「紙製容器包装」及び「雑がみ」を合わせた『紙資源』という分別区分を新たに設け、市内2学区においてどの程度紙資源の回収率が上がるのか、実証実験を行った。


■ 紙資源一括収集の実証実験結果(速報)
1. 方 法
「紙製容器包装」及び「雑がみ」を合わせた『紙資源』という分別区分として一括回収を行った。なお、「紙製容器包装」のうち製紙原料とならないものの有無について、2つの学区において分別区分を変え、内容物の組成調査やアンケートを行った。 

2. 紙資源の分別区分のパターン
〇 道徳学区(南区)
「紙製容器包装」及び「雑がみ」を合わせた『紙資源』として一括回収
ただし、製紙原料とならないものは可燃ごみとして排出。
・防水加工されたもの
・汚れているもの
・匂いがついたもの

〇 守山学区(守山区)
「紙製容器包装」及び「雑がみ」を合わせた『紙資源』として一括回収
製紙原料とならないものも「紙資源」として回収

3. 実施期間
 令和2年8月17日(月)から9月第4週まで

4. 組成調査結果(1週間当たりの排出量の変化)
 実証実験期間中は、両学区共に事前調査時と比較して「雑がみ」の収集量が大きく伸びた。また、集団資源回収における回収量は微増となっており、分別区分変更による相乗効果が見られる。 

〇 道徳学区(南区)
市収集 22%増加
集団資源回収 7%増加
合計 21%増加

〇 守山学区(守山区)
市収集 9%増加
集団資源回収 2%増加
合計 8%増加

5. 主なアンケート結果
 実証実験の対象世帯に、「紙製容器包装」と「雑がみ」を合わせた分別区分についてアンケートをした結果、「まとまった量が出るようになったので出しやすくなった」、「分別が分かりやすくなった」といった肯定的な意見が各学区共に約7割を占めた。 

これらの実証実験の結果をもとに、名古屋市は「紙製容器包装」と「雑がみ」を合わせた新たな分別区分である「紙資源」としての回収を、今後全市で展開することを視野に検討を進める考えだ。
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横井利明
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